NHKから5年以上前の受信料を請求された場合の対処法
解決事例
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NHK受信料にも時効がある
NHKの受信料にも時効制度の適用があります。
NHK受信料の時効については、2014年の最高裁判決によって5年とされました。
つまり、5年以上前の受信料については時効によって支払う必要がないということになります。
逆に言えば、5年以内の受信料については支払う必要があるわけです。
もし、「NHKからの大切なお知らせです」「NHKからの重要なお知らせです」「ご通知」といった書類が送られてきている場合でも、5年以上前の受信料については時効の適用があります。
ただし、時効の対象になるのは実際にNHKから5年以上前の未納分の請求書が届いていてお客様番号(10ケタ)が分かる方のみです。
最近は普通郵便ではなく、簡易書留で請求書が送られてくることがあります。
請求書の下に払込伝票がくっついていて、それを切り離すことで支払いができるようなタイプの請求もあります。
よって、請求書に記載されている請求期間が以下のような記載になっていて、受信契約の途中から現在に至るまで一度も返済をされていない方は、5年以上前の受信料については時効によって支払い義務をなくせる可能性があります。
ご請求期間
平成〇年〇月 ~ 令和〇年〇月
これに対して、受信契約後に支払っていない期間はあるが、現在は支払いをしている場合に時効の適用があるかどうかです。
支払いを再開してから5年以上経過している場合は時効の可能性があります。
これに対して、受信料の支払再開から5年未満の場合は時効の援用ができません。
これは、支払いを再開する際の申込用紙に「放送受信料支払期間指定書」という項目があり、申込用紙にサインをすることで未払期間の支払いについても承認したことになってしまうからです。
集金に来た訪問員の方に「今後の受信料を支払ってくれれば、これまでの分は支払わなくてもいい」と言われて支払いを再開したような場合も、上記のとおり未払期間の債務承認をしてしまっていることになるので、支払再開から5年未満の場合は時効の援用ができません。
また、支払再開から5年以上経過している場合でも、5年以内に一度でも未納期間の受信料の支払いをしていたり、支払いを認めるような発言や書類にサインをしている場合は時効にならないのでご注意ください。
ここがポイント!
5年以上前の受信料は時効の対象になる
時効が自動的に成立することはない
最高裁判決によって、NHK受信料にも5年の時効が適用されることが明らかにとなりましたが、刑事事件の時効のように5年経過したからといって自動的に時効が成立することはありません。
よって、NHKも時効の手続きが取られていない限り、契約者に請求する際は5年以上前の受信料を含めた受信料全額を請求してきます。
つまり、NHKから5年以上前の受信料についても請求を受けた場合、時効によって5年以上前の受信料の支払い義務をなくすには、契約者がNHKに対して時効の通知を送る必要があるということです。
なお、電話で時効の旨を伝えて了承してもらったにもかかわらず、あとから時効で消滅したはずの未納期間を含めた請求書が送られてきたという事例もあるので、電話だけで済ますのはお勧めできません。
よって、時効の通知はあとあとのトラブルを防止するためにも、普通郵便や簡易書留ではなく配達証明付きの内容証明郵便で送るのが安全です。
ここがポイント!
請求を放置しているだけでは時効は成立しない
時効の援用をするには
NHK受信料の時効を主張する場合は電話ではなく、内容証明郵便という書面でおこなうのが最も安全で確実な方法です。
これを時効の援用といいます。
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NHK自身も「受信料のお支払いが滞っている分については、これまでどおり全額請求させていただき、時効の申し出があった場合には、時効を5年として取り扱います」と表明しているので、5年以上前の受信料については、契約者の正当な権利として時効の援用をおこなうことが可能です。
時効の援用は請求書に記載されている契約者がおこないます。
請求書にはお客様番号が記載されているので、時効の通知書には契約者の住所氏名だけでなく、お客様番号を記載しておくことをおすすめします。
時効が成立した場合は、1か月くらいでNHKから時効の対象にならない直近5年分に減額された請求書が改めて送られてきます。
5年以上前から支払いを再開していて、請求書に記載されている未納期間が5年以上前(例:平成20年5月から平成28年3月)の場合は、時効が成立してもNHKから何も送られてくることはなく、未納期間の請求書が届かなくなるだけです。
すでにテレビ等の受信機器を撤去している場合は、時効の援用の際に受信契約を解約する旨を記載しておくこともできます。
その場合は後日、NHKから放送受信契約解約届が送られてくるので、それ以降は受信料の請求をされることはなくなります。
ただし、テレビ等の受信機器が一切なくなったとしても、解約届を出さない限りは請求は止まらず、その間については受信料の支払い義務が発生してしまうのでご注意ください。
ここがポイント!
時効の援用は内容証明郵便でおこなうのが安全で確実
ご自分で時効の援用をおこなう自信がない場合
当事務所にご依頼された場合、時効の中断(更新)事由がない限り、5年以上前の受信料については確実に時効の援用をおこないます。
ご依頼された場合のメリット
- NHKの書面にや訪問による請求が止まる
- 時効の中断(更新)事由がなければ、時効が成立する確率は100%
- 時効にならない場合は分割和解交渉に移行できる
5年以内の受信料については分割払いの和解をおこないます。
裁判所に支払督促を起こされてしまっている場合でも、当事務所が裁判手続きの代理をおこなうことができます。
よって、ご自分で時効の援用をおこなう自信がなかったり、裁判所から書類が届いてどうしてよいかわからない方は当事務所にご相談ください。
代理人による時効援用手続き
当事務所にお越し頂くことができない方
遠方にお住まいであったり、仕事が忙しくて当事務所にお越し頂くことができない方でも、当事務所が内容証明郵便の作成を代行することで時効の援用をおこなうことが可能です。
ご依頼件数5000人以上
こちらのサービスでも当事務所が作成した内容証明郵便による時効の援用によって、5年以上前の受信料については支払い義務がなくなります。
これまでに5000人を超える方が内容証明作成サービスを利用することで、ご自宅にいながら簡単迅速に時効の援用をおこなっておりますので、まずはLINEやお電話でご相談ください。
時効が成立する条件
- 5年以内に返済をしておらず、未納期間の支払いを認めるような書類にサインをしたり、話をしていない
- 10年以内にNHKから裁判を起こされていない
請求を放置していると
NHKからの請求を無視していると、裁判所に支払督促を起こされることがあります。
その場合でも5年以上前の受信料については、時効の主張をすることで受信料を一部減額することが可能です。
これに対して、支払督促を受け取ったにもかかわらず放置していると、5年以上前の受信料についても裁判上で支払い義務が確定してしまいます。
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裁判所から支払督促が届いた場合は、適切な対応を取る必要があります。
なお、支払督促は異議申立書を提出することで通常の裁判に切り替わります。
よって、5年以上前の受信料の支払い義務を時効によってなくしたいのであれば、支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立書を裁判所に提出する必要があります。
ただし、異議申立書でNHKの請求を認めたり、分割払いを希望してしまうと時効の援用ができなくなるのでご注意ください。
なお、請求を無視していると訪問員が自宅まで取り立てに来ることもあります。
訪問員に対して「お金がないから払えない」等と言うと債務承認となって時効が中断(更新)するおそれがあります。
これに対して「支払うつもりはない」「分からない」「答えられない」等と答えた場合は債務承認には該当しません。
また、それまでは普通郵便で来ていた請求が簡易書留で来るようになるので、書留で「ご通知」等の請求書が届くようになったら裁判をされたり、訪問される前に時効の援用をおこなってください。
ここがポイント!
請求を放置していると裁判を起こされたり、自宅まで訪問される可能性がある
時効の援用をせずに返済に応じた場合
もし、NHKの受信料に時効制度の適用があることを知らずに、受信料の一部を支払ってしまったような場合、債務を承認したことになって時効が中断(更新)してしまいます。
よって、集金人に訪問された際に「1ヵ月分だけでもいいから支払ってください」と言われ、それに応じてしまうと、支払った分が未払期間の当初の分に充当されてしまい、受信料全体の時効が中断(更新)してしまいます。
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また、一部の支払いに応じなくても、債務承認書や放送受信料支払期間指定書にサインをしたり、受信料全体について分割返済の相談をしたような場合も時効が中断(更新)してしまいます。
ここでの中断(更新)というのは一時停止という意味ではなくリセットを意味します。
つまり、これまでの時効期間がすべてゼロになってしまうことです。
よって、時効に気づかずに以下のような行為を取った場合は、時効の主張をすることができなくなり、5年以上前の受信料についても全額支払わなくてはいけなくなってしまうのでご注意ください。
時効が中断(更新)する行為
- 受信料の一部を支払ってしまう
- 債務承認書などにサインする
- 受信料全体について支払う意思があることを伝える
ただし、上記のような債務承認に該当するような行為が5年以上前であれば時効の援用が可能です。
つまり、一部入金や支払いを認める言動からすでに5年以上が経過していて、直近5年の間に債務承認に該当する行為がないのであれば時効の援用ができるということになります。
ここがポイント!
時効の可能性がある場合は時効の更新に該当するような行為は絶対におこなわないように注意する
受信契約を締結していない場合
NHKと受信契約を締結していない場合の受信料の時効について、最高裁は以下のとおり判断しました。
平成29年最高裁判決の要点
- 受信契約を締結していない場合、NHKから裁判を起こされて判決が確定した時に受信契約が成立する
- 受信契約を締結していなくても、テレビ等の受信機器を設置した時からNHK受信料の支払い義務が発生する
- 受信契約を締結していない場合、NHKとの受信契約が成立するまで受信料の時効は進行しないので、いつまでも受信料の支払い義務が残る
まず、NHKとの受信契約の成立時期についてですが、放送法では「テレビ等のNHKを受信できる設備を設置した者は、NHKとの間で受信契約をしなければならない」と定められています。
ただし、この規定には罰則はないので、受信契約を締結しなくても処罰されることはありませんが、最高裁は放送法の規定には法的拘束力があると認めています。
また、最高裁は放送法の受信契約締結に関する規定は義務ではあるけれども、テレビ等の受信機器を設置したからといって、自動的に契約が成立することはないと判断しました。
よって、利用者が受信契約を締結することを承諾しなければ受信契約が成立しないということになります。
ただし、最高裁は受信契約の成立を承諾しない利用者に対しては、NHKが受信契約を締結するように裁判を起こした場合は、受信契約を認める判決が確定した時に受信契約が成立すると判断しました。
次に、受信契約を締結していない場合、受信料の支払い義務がいつから発生するかです。
これについては、受信契約を締結していなければ、支払義務も発生しないと考えるのが普通の感覚ですが、最高裁は受信契約を締結していない場合でも、テレビ等の受信機器を設置した時から受信料の支払い義務が発生すると判断し、その理由については、真面目に受信料を支払ってきた人と受信契約を締結しなかった人の間で受信料の支払い範囲に違いが出るのは不公平だからとしています。
よって、NHKと受信契約を締結したかどうかにかかわらず、テレビ等の受信機器を設置した時から受信料の支払い義務が発生するということになります。
最後は、受信契約を締結していない場合の消滅時効の起算点です。
この点について最高裁は、受信契約を締結していない場合は消滅時効は進行しないと判断しました。
よって、受信契約が成立しない限り、5年の時効期間が進行しないので、いつまでたっても受信料の支払い義務が残り続けることになります。
平成29年の最高裁判決をまとめると、受信契約を締結していなくてもテレビ等の受信機器を設置した時から受信料の支払い義務が発生し、受信契約を締結していないとテレビ等を設置した時から何年経っても消滅時効の援用はできず、テレビ等を設置した時から現在までの全額の受信料を支払わなくてはいけないということになります。
つまり、テレビ等の受信機器を設置したにもかかわらず、受信契約を締結せずに受信料を払わなかった場合に、NHKから裁判を起こされてしまうと、テレビを設置した時から現在に至るまでの受信料を全額支払わなければならなくなる可能性が極めて高いということになります。
ここがポイント!
受信契約を締結していない場合は時効援用の対象外
契約者本人が死亡している場合
すでに亡くなった契約者名義の請求書が届く場合がありますが、その場合は相続人に受信料の支払い義務があります。
相続人はプラスの遺産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの遺産(借金など)も相続するからです。
ただし、亡くなってから3か月以内に裁判所に相続放棄の申し立てをしている場合は、プラスの遺産もマイナスの遺産もすべて相続しなくなります。
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亡くなってから3か月以上経過している場合でも、相続人が契約者が亡くなったことを知らなかった場合は、相続が開始した事実を知ってから3か月以内であれば放棄できます。
相続が開始した事実というのは、①受信契約者である被相続人が死亡した事実、②自分が相続人になった事実、の両方を知ったときです。
相続の事実を知ってから3か月以上経過している場合でも、一切の遺産を相続しておらず、NHKからの請求で受信料の滞納があることを初めて知ったような場合は、例外的に受信料の滞納があることを知ってから3か月以内であれば相続放棄が認められる可能性があります。
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よって、5年以上前の受信料の請求書が届いた場合は、相続人は相続放棄をしているかどうかによって対応が異なります。
ここでの相続放棄というのは裁判所に申し立てをおこなった場合で、相続人の間で特定の相続人が受信料の支払いをおこなうことを合意したような場合は含まれないのでご注意ください。
契約者が死亡した場合の相続人の対応
相続放棄の申し立てをしている場合は裁判所の相続放棄申述受理通知書のコピーをNHKに郵送すれば支払う必要がなくなります。
これに対して、相続放棄をしていない相続人は支払い義務がありますが、5年以上前の受信料であれば相続人が時効の援用をおこなうことができる場合があります。
時効が認められた場合は直近5年分の受信料は支払う必要がありますが、5年以上前の受信料については支払う必要がなくなります。
当事務所でもこれまでに相続人から時効援用のご依頼を多数お受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
ここがポイント!
相続放棄をしていない場合は相続人が時効援用できるかどうか検討する
割増金とは
2023年4月から割増金の運用が開始されました。
割増金の規定は、受信料の適正かつ公平な負担を図ることを目的として設けられました。
割増金の対象になるケース
- 不正な手段により受信料の支払いを免れた場合
- 正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合
受信契約の申込期限は「受信機の設置の月の翌々月の末日」となります。
例えば、4月にテレビ等を設置した場合は6月末が受信契約の申込み期限となります。
割増金が適用された場合、支払いを免れた受信料に加えて、その受信料の2倍に相当する額を支払うことになります。
「不正な手段」とは受信契約の解約届や受信料免除の申請において、虚偽の内容を記載した場合が該当します。
「正当な理由」の事例としては、非常災害や急な病気や事故等で受信契約書を期限までに提出できなかった場合です。
すでに地上契約契約を締結していて、新たに衛星受信機を設置した場合にも適用されます。
ただし、割増金については、上記の事由に該当するからといって一律に請求されるわけではなく、個別事情を考慮しながら運用していくとされています。
2023年(令和5年)11月6日に、NHKが東京都内の3世帯に対して、割増金の支払いを求める裁判を東京簡易裁判所に初めて提訴しました。
NHKは「誠心誠意の説明をおこなったが、どうしても契約の締結に応じてもらえなかったため、やむなく割増金の請求を含めた提訴に至った」と説明しています。
この裁判は放送受信契約の締結および受信料、割増金の支払いを求める裁判なので、すでに受信契約を締結しているケースではありません。
平成29年の最高裁判決によって、受信契約を締結していない場合に裁判を起こされると、裁判を起こされるまで時効は進行しておらず、テレビ等の受信機器を設置した時から受信料の支払い義務が発生し、判決が確定した時に受信契約が成立したことになるので、和解が成立しない限り、テレビを設置した時から現在に至るまでの受信料に加えて割増金を加えた損害金の支払いを認める判決が出る可能性が高いです。
すでに受信契約を締結していて単に受信料を滞納している未納者に対して割増金を加算して裁判を起こすと世間の反発が強いと思われるので、おそらく当面の間は割増金の請求を求める裁判は放送受信契約を締結していない方がメインになるのではないかと思われます。
ここがポイント!
受信契約を締結していない状態で裁判を起こされると割増金の請求もされる可能性がある
放送受信契約の解約
テレビ等の受信機を設置した住居に誰も住まなくなった場合やテレビの廃棄、故障などによって受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合は、NHKとの放送受信契約を解約することができます。
解約の主な事由は以下の2つです。
主な解約事由
- 受信機を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合
- 廃棄、故障、譲渡などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合
1の場合に該当するのは、①2つの世帯が1つになる場合、②世帯消滅、③海外転居、などがあります。
①は、一人暮らしや単身赴任の解消などによって、2つの世帯が1つになる場合です。
この場合は、いずれか一方の受信契約が解約の対象になります。
解約事由が発生したにもかかわらず、NHKに対して解約の申し出をしないと、その間の受信料は支払う必要があります。
よって、受信機器がすべてなくなるなどの解約事由が発生した場合は、すみやかに解約の申出をおこなうようにしてください。
その際は、解約の申出と時効の援用を同時におこなうことができます。
時効と解約が成立した場合は、NHKから5年分に減額された請求書と解約申出書が届きます。
あとは所定の事項を記入して解約申出書を返送すれば、放送受信契約の解約が完了します。
お問い合わせ
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NHKから5年以上前の受信料の請求が来てどうしてよいかわからない場合はお気軽にご相談ください。
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