特例有限会社への移行
会社法の施行により、既存の有限会社の法的な呼び名が
「特例有限会社」
と変わりました。
名前には「有限」という文字が残っていますが、会社法上はあくまでも株式会社となります。
ただし、数多くの特例が適用されるため、従前の有限会社と同じような特色が反映されるようになっています。
代表的な特色は以下のとおりです。
1. 定款により、監査役を設置できる
2. 監査役の業務は会計に関するものに限定される
3. 取締役、監査役の任期が決まっていない
4. 株式の譲渡制限会社で、非公開会社となる
5. 決算公告が不要
ところで、特例有限会社になるには、何かしらの手続きが必要になるのかどうかが気になるところですが、特例有限会社への移行に何らの手続きも必要ありません。
ただし、特例有限会社であるためには、商号の中に必ず有限会社という文字を入れなければならず、
もし、株式会社という文字を用いるために商号変更をした場合は、通常の株式会社に移行することになります。
また、特例有限会社では、取締役と監査役に任期の定めがないので、最後の登記から12年を経過した株式会社が対象となる休眠会社のみなし解散の規定も適用ありません。
なお、資本の総額が300万円未満の確認有限会社も、当然に特例有限会社に移行します。
確認有限会社の定款には、解散の事由として
「資本の総額が300万円以上とする変更の登記の申請をしないで設立の日から5年を経過したときに解散する」
等と定められ、この規定は登記されています。
しかし、会社法では最低資本金の制限は撤廃されたため、確認有限会社は一般の有限会社と同じく、最低資本金の制約を受けないで、特例有限会社として存続できるようになりました。
よって、上記の解散事由に関する定めは不要なものとなりますが、実務上はこのような定款の規定を廃止する変更手続きをして、法務局に解散の事由の定めの廃止による変更登記をしなければいけません。
もし、この変更登記をしないと、定款の規定どおり、設立の日から5年を経過したときに解散することになってしまうのが注意が必要です。
また、特例有限会社では、新たに発行可能株式総数、発行済株式の総数も登記事項となります。
しかし、この登記については登記官が職権で登記をするので、特に申請をする必要はありません。
なお、発行可能株式総数及び発行済株式の総数は、いずれも旧有限会社の資本の総額を出資1口の金額で除した数となります。
例えば、資本の総額が300万円で、出資1口の金額が5万円であれば60株となるわけです。
また、株式の譲渡制限に関する規定も新たに登記事項となりますが、これについても登記官が職権でその旨を登記します。
これは、旧有限会社では、社員間の持分の譲渡は自由ですが、社員以外の者に対して持分を譲渡するには社員総会の承認が必要だったからです。
そもそも、有限会社という組織は同族的な人間関係であることが多いので、人的関係が希薄である者が加入することは慎重でした。
よって、特例有限会社でも、この特徴が引き継がれ、株式の譲渡制限の定めが職権で登記されることになったわけです。
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