新公益法人制度について

旧公益法人制度では、主務官庁が公益性を判断し、そのうえで設立に許可を与えるというということになっていましたが、新公益法人制度では、従来の主務官庁による許可制を廃止しました。

そして、事業の公益性に関わらず、登記手続きだけで簡易迅速に法人格を取得できる一般社団法人・一般財団法人と、委員会の意見に基づき公益性を判断し、認定を得て移行する公益社団法人・公益財団法人とに区別されるようになりました。

よって、今後は、一般社団法人・一般財団法人と公益社団法人・公益財団法人の4つのタイプに区分されることになります。

なお、平成25年11月30日までは、従来存在していた旧民法法人は、特例社団法人・特例財団法人として存続していたので、それまでは6つのタイプが存在していたことになります。

なお、特例社団法人は期限内に、一般社団(財団)法人に移行するか、公益社団(財団)法人に移行するかを選択することになり、もし、期間内にいずれの法人にも移行しなければ、移行期間経過と同時に解散となります。

公益法人制度改革関連法は3部作となっています。

この3つは、一般法人法、公益認定法、整備法です。

一般法人法は、準則主義によって簡単に法人格を取得できる一般社団(財団)法人が対象となります。

公益認定法は、公益認定等委員会が公益性を認定するしくみなどについて定めた法律で、公益社団(財団)法人が対象となります。

ちなみに、当職も会員になっている司法書士の後見業務をおこなっているリーガルサポートセンターは公益認定を受けた社団法人です。

整備法は、上記2つの法律の施行に伴い、すでに存在する公益法人の移行手続きなどを定めた法律です。

なお、公益社団(財団)法人を設立しようと思っても、いきなりつくることはできず、まずは一般社団(財団)法人を設立し、そのうえで公益認定等委員会の認定を受けなければいけません。

つまり、公益社団(財団)法人には、一般社団(財団)法人の要件に加えて、目的、事業、機関設計等の条件が厳しく、その意味でも認定を受けるハードルは高いといえます。

これに対し、一般法人法には、公益認定法のような目的規定がありません。

これは何を意味しているかといえば、一般社団(財団)法人が、どのような社会的役割を担うのかがあいまいであるということです。

しかし、それは反対に、目的が問われず、また事業にも制限がないので、公益に限らず様々な目的を有する私益な法人を作ることができるというメリットでもあります。

とはいえ、設立することのハードルが低くなり、その事業内容にも制限がないため、悪徳商法等に使う目的で設立したり、税金逃れのために設立されるケースが増えるという懸念もあるので、今後は、反社会的な法人をできるだけ出現させないことが課題といえます。

なお、旧有限責任中間法人、旧無限責任中間法人はいずれも一般社団法人として存続するものとされました。

一般社団法人を設立した後は、2年ごとに理事の変更登記が必要になります。

そこで、社団法人における各役職の任期をみておきます。

評議員 ⇒ 4年

理事 ⇒ 2年

監事 ⇒ 4年

会計監査人 ⇒ 1年

評議員は定款に定める方法によって選任しますが、登記事項ではありません。

これに対し、理事、監事、会計監査人は社員総会もしくは評議員会の普通決議で選任し、登記事項となります。

ただし、監事と会計監査人は任意の機関なので、必ず登記しなければいけないのは理事のみとなります。

理事等の役員を社員総会で選任した場合には、社員総会議事録の添付を要しますが、評議員会で選任した場合には評議員会議事録を添付します。

もし、理事会を設置している社団法人であれば、代表理事を選任する必要があり、その場合は理事会議事録を添付します。

理事会を置かない社団法人において、定款の規定もしくは社員総会決議によって代表理事りを選任した場合は社員総会議事録を添付しますが、定款の規定に基づく理事の互選によって代表理事を選任した場合は、理事の互選を証する書面だけでなく定款の添付も要するので注意が必要です。

また、社団法人の機関設計において必置期間は社員総会と理事の2つですが、途中から理事会を設置することも可能です。

その場合、従前の代表理事は理事会の決議によって選任されてないため、そのままにしておくのは望ましくないので、理事会設置後にあらためて理事会において代表理事の選定をおこなうのがベターです。

なお、理事会を設置するかどうかは任意ですが、もし、設置した場合は必然的に監事も設置する必要があります。

同じく、会計監査人の設置も任意ですが、もし、設置した場合は監事も合わせて選任しなければいけません。

理事会を設置している社団法人が、理事会を置く旨の定款を廃止する定款変更をおこなった場合の注意点ですが、理事会が設置されている場合は上述したとおり、必然的に監事も選任されていますが、理事会廃止の定款変更をおこなっただけでは監事の地位はそのまま維持されるので、もし、監事も廃止したいのであれば、合わせて監事を置く旨の定款を廃止する必要があります。

これは、理事会を設置していなくても監事を置くことが可能なので、たとえ理事会を廃止したとしても、それと連動して監事まで廃止されるわけではないからです。

また、理事会を廃止した際に、あらためて代表理事の選任をしないと、従前の代表理事以外の理事の代表権が復活することになる点も注意点の一つです。

最後に、目的の変更についてですが、社団法人では社員総会の特別決議による定款変更手続きによって、目的を変更することができますが、財団法人は原則として、目的の変更は禁止されています。

財団法人で例外的に目的変更をおこなった場合、定款規定に基づく評議員会の決議により目的を変更する定款変更をおこなったのであれば、評議員会議事録の他に定款の添付を要します。

もし、裁判所の許可を得て、評議員会の決議によって定款変更をしたのであれば、評議員会議事録の他に裁判所の許可を証する書面を添付しなければいけません。

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