種類株式と自己株式の取得

株式会社では、一部の株式について他の株式と異なる内容を定款に定めることができ、これは登記事項となります。

 

種類株式は、以下の9つとなります。

 

1. 剰余金の配当

 

2. 残余財産の分配

 

3. 議決権制限株式

 

4. 譲渡制限種類株式

 

5. 譲渡請求権付株式

 

6. 取得条項付株式

 

7. 全部取得条項付種類株式

 

8. 種類株主拒否権付株式

 

9. 取締役等選任権付株式

 

上記の事項を定めるときは、その具体的内容と発行可能種類株式総数を定款で定める必要があります。

 

例えば、剰余金の配当について異なる内容の2つ以上の種類の株式を発行する場合、優先的配当を受ける株式を優先株式、劣後的配当を受ける株式を劣後株式と言います。

 

具体的な定め方としては

 

「優先株主に対しては、普通株主に先立ち、1株について100円の剰余配当金を支払う」

 

等が普通です。

 

ところで、公開会社では、議決権制限株式の数が発行済み株式の2分の1を超えた場合、直ちに議決権制限株式の数を発行済み株式の総数の2分の1以下にしなければいけないとされています。

 

しかし、上記のケースで2分の1を超えるような登記が申請されても登記自体は受理されます。

 

なぜなら、2分の1以下にする措置としては、会社が議決権制限株式を取得して消却するか、もしくは、議決権普通株式を発行すればよいからです。

 

もし、こういった措置を取らなかった場合について、具体的な法的効果は規定されていませんが、業務執行者は会社法の義務違反により制裁を受けることになると思われます。

 

株式の内容については、登記事項なので、新たに種類株式の定めを設けたり、従前の規定を変更した場合には、その旨を法務局に申請する必要があります。

 

添付書面としては、定款を変更する必要があるので、株主総会議事録を添付します。

 

また、株券発行会社が譲渡制限株式を設定した場合は、議事録のほかに株券提供公告をしたことを証する書面も必要です。

 

もし、当該株式の全部について株券を発行していないときは、株主名簿やその他の当該事実を証する書面を提出します。

 

登録免許税は3万円です。

 

次に、自己株式の取得についてです。

 

株式会社は、自社の株式を自己株式として取得、保有、処分、消却することができます。

 

自己株式を有償取得すると資本の払い戻しがあったとされますが、無償取得であれば、自己株式数のみの増加として処理されるだけです。

 

なお、自己株式については、会社は議決権を有しないものとされ、剰余金の配当を受ける権利もありません。

 

ただし、無制限に自己株式を取得できるわけではなく、会社法で決められた場合のみに限られます。

 

といっても、会社法では株主との合意による自己株式の取得も認めていますので、事実上は自由化されています。

 

また、自己株式の取得の対価が株式であれば、株主への払い戻しとはなりませんので、財源規制もありません。

 

これに対して、有償取得は、剰余金の分配の一種とされるので剰余金の配当と同じく、原則として分配可能額を超えてはならないという財源規制がかけられています。

 

ただし、合併や分割、株式交換等であれば財源規制はありません。

 

会社が株主との合意により、有償で株式を取得する場合は、株主総会の普通決議で条件等を定め、取締役会にその権限を授与することができます。

 

会社は取得した自己株式を消却することができます。

 

この点、旧商法では株主が保有している株式の消却や定款の定めにより配当可能利益をもって消却することが予定されている償還株式の規定がありましたが、会社法では株式の消却は取得した自己株式を消却する場合に限定されました。

 

 

 

 

 

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