株主総会の招集と書面決議
株式会社の最高意思決定機関は株主総会です。
この株主総会は毎事業年度終了後に開かれる定時株主総会と必要に応じて開かれる臨時株主総会に分類されます。
定時株主総会では、最低限、事業報告と計算書類の承認が会議の目的となります。
旧商法時代は、本店所在地またはその隣接地で開催する必要がありましたが、会社法ではその規定はなくなりました。
しかし、故意に株主が集まりにくい辺鄙な土地で開催すると、総会決議の取消原因になる可能性がありますので注意が必要です。
株主総会を招集する場合、取締役は開催日の2週間前までに株主に通知をする必要がありますが、非公開会社の場合は1週間前でOKです。
また、取締役会設置会社でなければ、定款に規定することでさらに短縮することが可能です。
具体的な招集手続きは書面の他に電話やFAX、電子メールでもよく、株主全員の同意があれば招集手続きを経ずに開催をすることもできます。
実務上は、中小企業の場合、この招集手続きをきちんと経ていないとして、総会決議取り消しの訴えが起こされることがあります。
この場合、適正に招集手続きを取ったことを立証する責任は会社側にあるので、招集手続きをしたことの証拠はきちんと残しておくのが安全です。
実際上、自分で会社を立ち上げようという場合、そのほとんどが株式に譲渡制限のある会社(非公開会社)であるし、
会社法の施行により、取締役も最低1名以上いればよくなったので、取締役会を設置する必要もありませんが、
その場合、株主総会で決議できるのは、会社法および定款で定めた事項の他に、会社に関する一切の事項が対象になります。
これに対して、株式譲渡制限会社であっても、取締役会設置会社では、会社法および定款で定めた事項のみが決議の対象です。
また、非取締役会設置会社では、招集通知は書面の他、電話、FAX、電子メールでも構いませんが、取締役会設置会社は書面のみとなります。
さらに、非取締役会設置会社の招集通知には、計算書類、事業報告の提供は不要ですが、取締役会設置会社の場合は提供する必要があります。
株主総会の議事録は、本店には10年、支店には5年間備え置き、株主と債権者は営業時間であればいつでも閲覧もしくは謄写の請求ができます。
定時株主総会の終了後は遅滞なく、貸借対照表を公告しなければいけません(ただし、特例有限会社は不要)。
官報または日刊新聞で公告する場合はその要旨だけでよく、一定の要件を満たせばホームページで公告することも可能です。
なお、株主総会を実際に開催することなく、決議や報告があったことをみなす方法があり、これを書面決議といいます。
方法としては、取締役または株主が総会の目的事項を提案し、株主全員が書面または電子メールによって同意すれば、その提案を可決する株主総会があったものとみなされます。
この書面決議は、普通決議事項だけでなく、特別決議事項や特殊決議事項の場合でも利用可能です。
報告事項については、取締役が株主全員に報告事項を通知し、株主全員が総会での報告が必要ないことを書面等で賛成したときは、報告があったものとみなされます。
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