アイアール債権回収からアフレッシュクレジットの未払い金を請求されたケースの解決事例
消滅時効が成立【アイアール債権回収株式会社⑨】
相談内容
沖縄県にお住まいの方から、アイアール債権回収の「特別和解のご提案」が届いたとご相談がありました。
30年近く前にアフレッシュクレジット(旧ジェイシーケイクレジット)で借りた借金の請求でした。
ご本人曰く、10年以上は支払いや連絡をしていないということです。
相当古い未払い金なので時効なのではないかと思い、当事務所にご連絡を頂きました。
以下のページで、アイアール債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
アイアール債権回収から届いた「特別和解のご提案」を確認したところ、請求内容は以下のとおりでした。
譲受債権内容
- 債権譲渡人 ➡ アフレッシュクレジット株式会社
- 当初の債権者 ➡ ジェイシーケイクレジット株式会社
- 現在の債権者 ➡ アイアール債権回収株式会社
- 契約年月日 ➡ 1997年
- 元金残高 ➡ 19万円
- 遅延損害金 ➡ 28万円
- 残高合計金額 ➡ 47万円
1997年にジェイシーケイクレジットと契約したものの、その後に返済がとどおり、アフレッシュクレジットがアイアール債権回収に債権を譲渡していたことがわかりました。
滞納が始まった時期の記載はありませんでしたが、遅延損害金が元金を上回る金額であったため、少なくても5年以上前から支払いをしていないと思われました。
債権譲渡日も不明でしたが、5年以内であっても時効には影響ありません。
時効の条件
- 最後に支払いをしてから5年以上経過している
- 5年以内に支払いの話をしていない
- 10年以内に裁判を起こされて債務名義を取られていない
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裁判を起こされて判決等の債務名義を取られると時効が10年更新します。
ただし、アイアール債権回収の場合、請求書を見ても債務名義の有無は一切わかりません。
この点について、ご本人に確認したところ、これまでに裁判所から訴状や支払督促が届いたことはないということでした。
よって、今回は時効の可能性があると判断しました。
債務名義とは
- 仮執行宣言付支払督促
- 調停調書
- 確定判決
- 和解調書
そこで、当事務所がアフレッシュクレジットから債権を譲り受けたアイアール債権回収に対して、内容証明郵便で時効の通知を送りました。
すると、その後はアイアール債権回収から請求を受けることは一切なくなりました。
これにより、47万円の借金を時効の援用によって消滅させることができました。
ご依頼件数8000人以上
アドバイス
アフレッシュクレジット(旧ジェイシーケイクレジット)の支払いを滞納していると、債権を譲り受けたアイアール債権回収から請求を受けることがあります。
アイアール債権回収は国の許可を受けたサービサーなので、いわゆる架空請求、詐欺とは異なります。
特別和解案では請求金額の80%を一括返済すれば、完済(残金を免除)とする提案がされていますが、そもそも時効が成立した場合は遅延損害金のみならず、元金についても一切支払う必要がなくなります。
そのため、アイアール債権回収から「特別和解案」が届いた場合は支払いに応じることなく、時効の援用をおこなってください。
もし、時効の可能性があることに気づかずに、アイアール債権回収が指定する口座に入金をしてしまうと時効の援用ができなくなります。
電話で支払いを猶予してもらったり、分割や減額のお願いをすると債務承認となって時効が更新します。
時効が更新すると、それまでの時効期間がすべてリセットされて、最低でもその後5年間は時効の援用ができなくなります。
債務承認になる行為とは
- 借金の支払いに応じる
- 示談書にサインする
- 電話で支払いの相談をする
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時効の援用をおこなわずに請求を放置し続けていると、アイアール債権回収が裁判を起こしてくることがあります。
裁判を起こされると裁判所から訴状もしくは支払督促が特別送達という郵便で届きます。
不在の場合は裁判所の不在票がポストに投函されているので、すみやかに再配達してもらって内容を確認してください。
もし、裁判所から書類が届いたと怖くなって意図的に受け取らないと、そのまま裁判が進んでしまい、時効の援用ができなくなるおそれがあるのでご注意ください。
具体的な対応方法としては、訴状が届いた場合は裁判期日までに答弁書、支払督促が届いた場合は2週間以内に異議申立書を裁判所に提出する必要があります。
時効の更新事由がなければ、アイアール債権回収が裁判を取り下げます。
その場合、裁判所から取下書が届きますが、裁判が取り下げになると答弁書や異議申立書でおこなった時効援用もなかったことにされて、取り下げ後に請求が再開されるおそれがあります。
よって、答弁書や異議申立書の提出だけでなく、内容証明郵便で時効の通知を送っておくのが安全です。
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裁判を放置して判決等の債務名義を取られてしまうと時効の援用ができなくなるだけでなく、アイアール債権回収から強制執行されるおそれがあります。
自分には財産が何もないからと開き直って放置していると、アイアール債権回収が裁判所に財産開示手続きの申し立てをしてくることがあります。
裁判所が財産開示手続きの開始を決めた場合は、裁判所から呼び出しを受けて、その場で勤め先や口座の情報を答えさせられます。
特に目ぼしい財産が何もないと思っていても、仕事先を知られてしまうと会社から支給される給料やボーナスを直接、差し押さえされてしまいます。
よって、債務名義を取られて時効の援用ができない場合は分割返済で和解するなどして、差し押さえを受けないようにしておく必要があります。
最悪なのは、正当な理由なく財産開示手続きを欠席したり、嘘の情報を答えることです。
なぜなら、裁判所が決定した財産開示手続きを正当な理由なく欠席すると「6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」に処せられる可能性があるからです。
実際に財産開示手続きを無断欠席した債務者が逮捕されている事例もあるのでご注意ください。
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時効にならない場合は支払い義務があるので、分割返済できる場合はアイアール債権回収と和解交渉をおこなう必要があります。
自分で交渉するのが不安であれば、司法書士に任意整理の依頼をすることができます。
一般的に自分で交渉するよりも、司法書士に任意整理をお願いした方がよい条件で和解できる可能性が高いです。
任意整理では和解後の返済に利息を付けることはなく、返済期間も3~5年と比較的長期間となります。
よって、和解で決まった支払金額を毎月送れずに返済できれば、確実に完済へと近づくことになります。
ただし、実際にどのくらいの条件で和解できるかはケースバイケースなので、希望する条件で和解できるという保証はありません。
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アフレッシュクレジットからの借入れの場合は相当古い契約なので、アイアール債権回収から請求書が届いた段階で債務者がすでに死亡しているケースがあります。
そのような場合、相続人が対処する必要があります。
なぜなら、借金も相続の対象になるからです。
相続人の対応は裁判所に相続放棄の申し立てをしているかどうかで変わります。
相続人は相続開始後3か月以内に裁判所に相続放棄の申し立てをおこなうことで、借金を含めたすべての遺産を相続しないで済みます。
よって、被相続人に預貯金や不動産などの遺産がなかったり、多少の遺産はあっても明らかに借金の方が多いような場合は相続放棄をしておいた方が安全です。
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裁判所で相続放棄が受理された場合、相続放棄申述受理通知書が発行されるので、それをアイアール債権回収に郵送すればそれ以上請求を受けることはなくなります。
これに対して、相続放棄をしていない場合は相続人が時効の援用をおこなうことができます。
ただし、被相続人の死亡から数年が経過していても、アイアール債権回収からの通知で初めて借金の存在を知ったような場合は、通知を受け取ってから3か月以内であれば相続放棄が受理される場合があります。
3か月過ぎた相続放棄はこちら
- 被相続人の遺産を一切相続していない
- 相続時点の調査では借金があることがわからなかった
- 債権者からの通知で初めて借金があることがわかった
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アイアール債権回収のようなサービサーは信用情報機関(CIC、JICC)に加盟していません。
また、アフレッシュクレジットはすでに会社が消滅しています。
よって、アイアール債権回収から請求がきても信用情報にブラックリストは登録されていません。
もちろん、時効の援用をおこなったからといって、あらたに信用情報に傷が付くようなこともありません。
これに対して、アイアール債権回収がアコムから債権を譲り受けている場合は債権譲渡からCICでは5年、JICCでは1年でアコムのブラックリストが抹消されます。
よって、アコムから債権を譲り受けてから5年以上経過しているのであれば、信用情報はすでに回復しているということになります。
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お問い合わせ
当事務所はアイアール債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
いなげ司法書士・行政書士事務所
お電話 043-203-8336(平日9時~18時)