アメックスのブラックリストをCICから削除したケースの解決事例
消滅時効が成立【アメリカン・エキスプレス・インターナショナル】
相談内容
徳島県にお住まいの方から、CIC(シーアイシー)に登録されている事故情報を消したいとご相談がありました。
10年以上前にアメックスと契約した借金でした。
ご本人の記憶では、10年以上は支払いも連絡もしておらず、現在は請求書も届いていないということです。
住宅ローンを利用したいので、できればその前にブラックリストを消しておきたいということで、当事務所にご連絡を頂きました。
以下のページで、信用情報の回復について解説しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
ご本人がCICから取り寄せた信用情報を確認したところ、契約内容は以下のとおりでした。
クレジット情報
- 登録元会社 ➡ アメリカンエキスプレスインターナショナル
- 契約の内容 ➡ カード等
- 契約年月日 ➡ 平成25年
- 商品名 ➡ ショッピング
- 残債額 ➡ 49万円
- 返済状況 ➡ 異動
- 異動発生日 ➡ 平成26年
- 終了状況 ➡ 【空欄】
- 入金状況 ➡ A
- 保有期限 ➡ 【空欄】
平成25年にアメックスと契約してショッピングで利用していたものの、平成26年から未払いになっていることがわかりました。
滞納が始まった時期は【返済状況】の異動発生日で確認できます。
直近2年間の入金状況はすべて【A】となっていました。
【入金状況】が「A」になっている場合は「お客様の事情でお約束の日に入金がなかった」ことを意味します。
「終了状況」「保有期限」がいずれも【空欄】になっていたので、現在もアメックスと契約中の状態が続いていることになります。
時効の条件
- 最後の支払いから5年以上経過している
- 5年以内に支払いの約束をしていない
- 10年以内に裁判を起こされていない
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裁判を起こされて判決などの債務名義を取られていると時効が10年更新されます。
ただし、CICの場合は裁判を起こされていても債務名義の情報は反映されません。
そこで、ご本人に確認したところ、これまでに裁判を起こされた覚えはないということでした。
よって、今回は時効の可能性があると判断しました。
債務名義とは
- 仮執行宣言付支払督促
- 確定判決
- 調停調書
- 和解調書
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そこで、当事務所が内容証明郵便でアメリカンエキスプレスインターナショナルに対して時効の通知を送りました。
その後、あらためてCICを確認したところ、異動発生日はそのままでしたが、空欄だった【終了状況】は「完了」になり、【保有期限】に5年後の日付が登録されていました。
また、【残債額】は「0円」になりました。
CICの場合、時効が成立しても異動発生日が消えるまで5年かかりますが、信用情報上は「延滞はあったが完済して終了した」という内容に修正されます。
つまり、時効が成立することで【延滞継続中のブラック情報】から【延滞後に完済したグレー情報】に変わります。
ブラックリストが登録されている状態だとローンの審査に通る可能性は極めて低いですが、時効が成立してグレー情報になれば、異動発生日が消えるまでの5年間であってもローンの審査が通る可能性が高くなります。
内容証明作成サービスであれば、借金の支払い義務を消滅させるだけでなく、信用情報を回復させることにも対応しています。
ご依頼件数8000人以上
アドバイス
アメリカンエキスプレスインターナショナルはCIC(シーアイシー)、JICC(日本信用情報機構)に加盟しています。
そのため、アメックスカードの支払いを2~3か月滞納するとCICに「異動」、JICCに「延滞」と登録され、これをブラックリストといいます。
ブラックリストが登録されていると、基本的に融資を受けたり、カードを作ることができなくなります。
よって、住宅ローンや自動車ローンを利用したり、新たにクレジットカードを作りたい場合は事前に信用情報に登録されたブラックリストを消しておく必要があります。
ここがポイント!
支払いを2~3か月滞納すると信用情報がブラックリストが登録され、その間はクレジットの審査が基本的に通らない
CICに登録された事故情報を消すには2つの方法があります。
それは完済するか、時効援用で支払い義務を消滅させるかのどちらかです。
CICの運用では、完済しても時効援用してもブラックリストが消えるまで5年かかります。
つまり、CICでは【返済状況】に登録された異動発生日がすぐに消えることはなく、完済しても時効が成立してもブラックリストが抹消されるまで5年かかるということです。
完済と時効で異動発生日が消えるタイミングに違いがないのであれば、残債額が少額な場合は時効援用せずに完済するという選択あります。
その際に注意しなければいけないのは、CICに記載されている残債額はあくまでも元本に過ぎないという点です。
よって、実際に完済する場合は残債額に加えて滞納している期間に発生した損害金を加えた額となります。
滞納期間が10年以上の場合、損害金が元本の数倍になっていることも珍しくないので、残債額の金額だけで安易に完済しないようにご注意ください。
ここがポイント!
完済する場合は滞納している期間に発生した損害金を含めた金額を支払う必要がある
CICの原則的な運用では事故情報が削除されるまで5年かかりますが、これには例外があります。
それは異動発生日が【空欄】になっている場合です。
この場合は時効が成立するとすぐにブラックリストが削除されるので、時効援用をしてから1~2か月後に再度、CICを取り寄せると登録会社のクレジット情報が丸ごと消えています。
異動発生日が空欄になっているのは、15年以上前から滞納しているような古い借り入れの場合です。
ただし、実際に異動発生日が空欄になっているかどうかはCICのクレジット情報を確認してみないとわからず、15年以上前から滞納していても異動発生日が登録されていることがあります。
CICの異動発生日が消えるまで
- 完済 ➡ 5年
- 時効 ➡ 5年 ※ただし、異動発生日が【空欄】の場合はすぐ消える
JICC(日本信用情報機構)に延滞情報が登録されている場合は完済するメリットはありません。
なぜなら、JICCの運用では完済では延滞情報が抹消されるまで5年かかりますが、時効が成立した場合はすぐに削除されるからです。
これはなぜかというと、JICCでは時効が成立すると時効の起算日に遡って完済扱いになり、その時点で登録機関の経過によって延滞情報が抹消されるからです。
そのため、時効が成立した場合は1~2か月でJICCに登録されている情報がファイルごと削除されます。
なお、JICCの場合、完済すると【異動参考情報等】に「延滞解消」と登録されますが、2019年9月30日以前の契約だと完済から1年で延滞解消が消えます。
JICCで延滞が消えるまで
- 完済 ➡ 5年
- 時効 ➡ 1~2か月
すでに述べたとおり、CICやJICCに登録されたブラックリストを消すには基本的には時効援用するか完済するしかありません。
しかし、これには例外があります。
それは債権譲渡です。
なぜなら、債権が譲渡されるとCICでは5年、JICCでは1年で譲渡会社の事故情報が削除されるからです。
債権を譲り受けた会社が貸金業者であれば、あらたに債権を譲り受けた会社名でブラックリストが登録されます。
これに対して、譲受会社が非貸金業者や債権回収会社の場合は、債権譲渡から5年で信用情報が完全に回復します。
ただし、ブラックリストが消えても借金自体は残っているので、債権を譲り受けた会社から請求を受けた場合はすみやかに時効の援用をおこなう必要があります。
債権譲渡でブラックリストが消えるまで
- CIC ➡ 5年
- JICC ➡ 1年
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時効援用をおこなう場合は、その前にアメックスに電話をかけないようにしてください。
なぜなら、電話で支払いの話をしてしまうと債務承認となって時効が更新してしまうからです。
時効が更新すると、その後5年間は時効の援用ができなくなります。
アメックスから請求書が届いていなくても、CICやJICCから取り寄せた信用情報を元に内容証明を作成して時効援用をおこなうことができます。
債務承認になる行為とは
- 残債務を振り込む
- 和解書にサインする
- 電話で支払いの相談をする
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時効にならない場合は支払い義務があるので、完済するしかブラックリストを消す方法はありません。
一括返済できない場合はアメックスと分割和解の交渉をおこなう必要があります。
自分で交渉できない場合は司法書士に代理交渉をお願いすることができ、これを任意整理といいます。
任意整理をおこなった場合、CICとJICCでその取扱いが異なります。
CICでは司法書士が任意整理をおこなっても、それがクレジット情報に反映されることはなく、完済してから5年経過しない限り、異動発生日が消えることはありません。
ここがポイント!
CICでは任意整理をおこなってもその情報は登録されず、延滞をした事実だけが登録される
これに対して、JICCでは司法書士が任意整理をおこなった場合、【異動参考情報等】に「債務整理」と登録されます。
「債務整理」の情報は「完済から5年」で消えますが、2019年9月30日以前の契約だと「債務整理をした時から5年」で消えます。
そのため、返済期間が5年以上の場合は完済せずに返済途中であっても【異動参考情報等】に登録された「債務整理」の情報が消えることになります。
ただし、任意整理の返済期間は3~5年が一般的なので、3年で完済しても「債務整理」が消えるのは任意整理をおこなってから5年後です。
これに対して、2019年10月1日以降の契約の場合は「延滞解消」も「債務整理」の情報も完済してから5年となります。
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お問い合わせ
当事務所はアメックスの時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
いなげ司法書士・行政書士事務所
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