消滅時効が成立【三井住友カード → アビリオ債権回収⑨】
アビリオ債権回収から三井住友カードの延滞金を請求されたケースの解決事例
相談内容
福島県にお住まいの方から、アビリオ債権回収から「減額和解提案書」が届いたとご相談がありました。
10年以上前にモビットで借りた借金の請求でした。
ご本人曰く、10年くらいは支払いをしておらず、連絡も取っていないということです。
減額提案に応じるべきか、自分では判断できないということで当事務所にご連絡を頂きました。
以下のページで、アビリオ債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
アビリオ債権回収から届いた「減額和解提案書」を確認したところ、契約内容は以下のとおりでした。
請求内容
- 契約日 ➡ 2014年
- 譲渡人 ➡ 三井住友カード株式会社(旧:株式会社モビット)
- 支払期日 ➡ 2015年
- 譲受日 ➡ 2016年
- 元金 ➡ 31万円
- 損害金 ➡ 57万円
- 債務総額 ➡ 88万円
2014年にモビットで借り入れをしたものの、2015年から滞納が始まり、2016年にアビリオ債権回収に債権が譲渡されていたことがわかりました。
なお、モビットは2023年に三井住友カードと合併しています。
未払いになった時期は「支払期日」で確認できます。
債権譲渡で時効が更新することはないので、たとえ三井住友カードから債権を譲り受けたのが5年以内であっても時効の成否に影響はありません。
時効が成立する3つの条件
- 最後の支払いから5年以上経過している
- 5年以内に支払いの話をしていない
- 10年以内に裁判を起こされて債務名義を取られていない
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アビリオ債権回収の場合、裁判を起こされて判決などの債務名義を取られていると【備考】という箇所に以下のような事件番号が記載されています。
しかし、備考欄には現在の適用利率の記載がされているだけで、裁判所の事件番号の記載はありませんでした。
また、ご本人にも確認したところ、これまでに裁判所から書類が届いた覚えはないということでした。
よって、今回は時効の可能性があると判断しました。
債務名義の事件番号
- 種類 ➡ 判決正本
- 裁判所名 ➡ ○○簡易裁判所
- 事件番号 ➡ 平成○年(ハ)第○○号
そこで、当事務所が内容証明郵便で三井住友カードから債権を譲り受けたアビリオ債権回収に対して時効の通知を送りました。
すると、アビリオ債権回収から時効が成立して債務が不存在になったということで、当初の契約者であるモビットの申込書が送られてきました。
これにより、88万円の借金を時効の援用によって消滅させることができました。
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ご依頼件数8000人以上
アドバイス
三井住友カードは2023年にSMBCモビット、2024年にSMBCファイナンスサービス(旧セディナ)と合併しています。
よって、モビット、セディナ(旧セントラルファイナンス、クオーク、OMCカード)に未払い金があると、三井住友カードから債権を譲り受けたアビリオ債権回収から「減額和解提案書」が届くことがあります。
和解提案の具体的な内容はケースバイケースですが、今回は①一括返済の場合、②分割返済の場合がそれぞれ記載されており、一括返済では元金の半額程度になっていました。
分割返済の内容は、債務総額を12回払いもしくは59回払いで支払っていくという提案でした。
時効にならないケースであれば、悪くない提案です。
ただし、時効の可能性がある場合は和解提案に応じないようにしてください。
なぜなら、時効が成立した場合は損害金のみならず、元金についても一切支払う必要がなくなるからです。
もし、時効に気づかずにアビリオ債権回収に電話をかけて相談してしまうと債務承認となって時効が更新するのでご注意ください。
債務承認になる行為
- 支払いに応じる
- 和解書にサインする
- 電話で今後の返済について相談する
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三井住友カードはCIC、JICCに加盟しています。
そのため、2~3か月滞納すると信用情報にブラックリストが登録されます。
CICの場合は【返済状況】に「異動」、JICCの場合は【異動参考情報等】に「延滞」と登録されます。
ブラックリストは基本的に完済するか時効の援用によって支払い義務を消滅させない限り消えることはありませんが、これには例外があります。
それは債権が譲渡された場合です。
なぜなら、アビリオ債権回収のようなサービサーは貸金業者ではないのでCIC、JICCに加盟していないからです。
そのため、債権が譲渡されるとCICでは5年、JICCでは1年で譲渡会社のブラックリストが抹消されます。
しかし、信用情報から事故情報が消えたからといって借金がなくなるわけではないので、三井住友カードから債権を譲り受けたアビリオ債権回収から請求を受けた場合はすみやかに時効の援用をおこなう必要があります。
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アビリオ債権回収の場合、必ずしも時効期間が経過しているとは限りません。
最後の支払いから5年経過していなかったり、10年以内に債務名義を取られている場合は時効になりません。
債務名義を取られている場合は【備考】に事件番号が記載されています。
そこで、10年以上経過しているかどうかを確認することができますが、10年以内であっても時効の可能性がある債務名義があります。
それは仮執行宣言付支払督促の場合です。
債務名義の種類が仮執行宣言付支払督促の場合、10年以内であっても時効が成立することがあります。
なぜなら、支払督促には既判力がないからです。
既判力というのは、あとから覆すことができなくなる効力です。
そのため、最後の支払いから5年以上経過した「後」に仮執行宣言付支払督促が確定しても、あとから時効の援用ができる場合があります。
これに対して、最後の支払いから5経過する「前」に支払督促の申し立てをされている場合は時効の援用はできません。
この辺の判断は非常に専門的なので、備考欄に債務名義の事件番号が記載されている場合はご自分で判断せずにお気軽にお問い合わせください。
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時効にならない場合は支払い義務があるので、その場合はアビリオ債権回収の減額和解提案に応じるという選択もあります。
特に債務名義を取られている場合、和解をせずに放置しているとアビリオ債権回収が強制執行をしてくることがあります。
三井住友カードが取得した債務名義に基づいてアビリオ債権回収が強制執行をしてくる場合、事前に裁判所から執行文が届くことがあります。
これは強制執行文というもので、債権を承継した際に裁判所から発行されるものです。
裁判所からアビリオ債権回収の執行文が届いた場合は強制執行をおこなう準備をしていることを意味しているので、時効にならない場合は早期の和解を検討すべきといえます。
差し押さえされるもの
- 預貯金
- 給料、ボーナス
- 自動車
- 動産(家財道具など)
- 不動産
アビリオ債権回収の場合、基本的には分割返済には応じることが多いですが、ご自分で交渉できない場合は司法書士に代理交渉をお願いすることも出来ます。
これを任意整理といいます。
任意整理では和解成立後の返済には利息を付けないので、返済すれば確実に借金が減っていきます。
最長の分割回数は60回なので、負債総額が60万円であれば月1万円、120万円であれば月2万円の返済になります。
ただし、実際にどのくらいの条件で和解できるかは、それまでの取引内容などによっても変わってくるのでケースバイケースです。
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お問い合わせ
当事務所はアビリオ債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
いなげ司法書士・行政書士事務所
お電話 043-203-8336(平日9時~18時)