アイアール債権回収から「支払督促」が届いたケースの解決事例
消滅時効が成立【アコム → アイアール債権回収⑧】
相談内容
長崎県にお住まいの方から、アイアール債権回収の支払督促が裁判所から届いたとご相談がありました。
30年くらい前に借りたアコムの借金でした。
ご本人曰く20年以上は支払いをしておらず、裁判を起こされたのも今回が初めてということです。
自分では支払督促の対応に不安があるということで、当事務所にご相談頂きました。
以下のページで、アイアール債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
裁判所から届いた支払督促を確認したところ、契約内容は以下のとおりでした。
請求の原因
- 契約会社 ➡ アコム株式会社
- 契約日 ➡ 平成7年
- 最後に支払った日 ➡ 平成11年
- 債権譲渡日 ➡ 令和3年
- 残元金 ➡ 17万円
- 利息・損害金 ➡ 67万円
- 請求額 ➡ 84万円
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平成7年にアコムと契約して、その後は借り入れと返済を繰り返していましたが、平成11年から支払いができなくなり、令和3年にアイアール債権回収に債権が譲渡されていたことがわかりました。
債権譲渡日が5年以内におこなわれていても、時効の成否に影響はありません。
あくまでも最後の支払い日から5年以上であれば時効の可能性があります。
時効が成立する条件
- 5年以内に支払いをしていない
- 10年以内に債務名義を取られていない
- 5年以内に支払いを認めるような話をしていない
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ご本人の記憶では今回のように裁判所から書類が届いたことは初めてということでした。
よって、今回は時効の可能性があると判断しました。
そこで、当事務所が内容証明郵便を作成して、アイアール債権回収に対して時効の通知を送り、ご本人に異議申立書の書き方をお知らせして裁判所に提出して頂きました。
すると、裁判所から後日、取下書が届きました。
これにより、84万円の借金を時効の援用によって消滅させることができました。
内容証明作成サービスであれば、当事務所にお越し頂くことなく、裁判所から支払督促が届いた場合にも対応可能です。
よって、ご自分で訴訟対応できない場合はお気軽にご相談ください。
ご依頼件数8000人以上
アドバイス
アイアール債権回収は三菱UFJフィナンシャルグループのサービサーで、アコムの子会社です。
よって、アコムの返済を滞納したままにしていると、債権を譲り受けたアイアール債権回収から請求書が届くことがあります。
詐欺、架空請求と勘違いして放置していると、アイアール債権回収が裁判所に支払督促の申し立てをおこなうことがあります。
その場合、裁判所から支払督促申立書が特別送達で届きます。
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今回はオンラインシステムで申し立てされた支払督促でした。
その場合、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所ではなく、東京簡易裁判所から支払督促申立書が届きます。
裁判所から支払督促が届いた場合は2週間以内に異議申立書を提出する必要があります。
もし、異議申立書を提出しなかった場合、仮執行宣言が付された支払督促があらためて裁判所から送られてきます。
仮執行宣言付支払督促が届いた際も2週間以内に異議申立書を提出する機会があります。
つまり、異議申立書を提出するチャンスは2回あるということになります。
ただし、2回とも異議申立書を提出しなかった場合は支払督促が確定しまい、時効が10年更新されます。
それだけでなく、アイアール債権回収が強制執行できるようになります。
差し押さえの対象になるもの
- 給与、ボーナス
- 預貯金口座
- 動産(家財道具など)
- 自動車、オートバイ
- 不動産
異議申立書を裁判所に提出すると通常の裁判手続きに移行されます。
ただし、異議申立書を提出する段階で時効の援用をおこなえば、アイアール債権回収が裁判を取り下げます。
よって、裁判所から支払督促が届いた段階で適切な対応を取れば、時効の援用で対処することが可能です。
これに対して、時効の可能性があるにもかかわらず、慌てて借金の一部を支払ったり、アイアール債権回収に電話して今後の支払いについて相談をしてしまうと債務承認となって時効が更新してしまうのでご注意ください。
債務承認に該当する行為
- 残高の一部を支払う
- 電話で返済の相談をする
- 和解書にサインする
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アコムはCIC、JICCに加盟しています。
よって、延滞中は信用情報機関にブラックリストが登録されます。
ただし、アイアール債権回収に債権が譲渡された場合はCICでは5年、JICCでは1年でアコムのブラックリストが抹消されます。
アイアール債権回収のようなサービサーは信用情報機関に加盟していないので、債権譲渡から5年以上経過すれば、完済や時効の有無にかかわらず、譲渡会社のアコムのブラックリストは抹消されます。
よって、アイアール債権回収に対する時効が成立したからといって、ブラックリストが早く抹消されるというわけではありません。
もちろん、時効の援用をすることであらたに信用情報に傷が付くようなことはありません。
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もし、支払督促が届いたにもかかわらず、異議申立書の提出期間を過ぎてしまった場合でも時効の援用ができる場合があります。
なぜなら、支払督促には既判力がないからです。
既判力というのはあとから覆すことができなくなる効力です。
確定判決には既判力があるので、判決が確定してしまうとあとから時効の援用をおこなうことはできません。
これに対して、支払督促には既判力がないので、仮執行宣言付支払督促が確定した場合でもあとから時効の援用ができる場合があります。
なぜなら、支払督促は裁判官が関与せずに裁判所書記官の書面審査だけで完結する手続きだからです。
そのため、支払督促には既判力がありません。
よって、支払督促が申し立てされた時点で、すでに時効期間が経過していた場合は支払督促が確定した後でも時効の援用が可能です。
つまり、最後の支払いから5年以上経過した後に支払督促の申し立てがされていれば、異議申立書を提出し忘れて支払督促が確定した後でも時効の援用ができるということになります。
ただし、裁判所から支払督促が届いた場合はできるだけその段階で時効の援用をおこなっておくのが安全です。
異議申立書を提出しなかった場合
- 最後の支払いから5年以内の申し立て ➡ 時効援用できない
- 最後の支払いから5年以上の申し立て ➡ 支払督促確定後でも時効援用できる
時効の援用ができない場合は支払い義務があるので、分割で返済できる場合はアイアール債権回収と和解交渉をおこなうことになります。
ご自分でアイアール債権回収と和解交渉する自信がない場合は司法書士に任意整理をお願いすることができます。
任意整理では原則的に頭金なしで3~5年の分割返済となり、和解成立後に支払いに利息をつけないので、返済した分だけ確実に残高が減っていきます。
ただし、実際にどういった内容で和解できるかについては、これまでの取引内容などによっても変わってくるので、必ずしも希望する条件で和解できるというわけではありません。
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お問い合わせ
当事務所はアイアール債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
いなげ司法書士・行政書士事務所
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