アコムから「お取扱い部署変更のお知らせ」が届いたケースの解決事例
消滅時効が成立【アコム株式会社④】
相談内容
三重県にお住まいの方から、アコムから「お取扱い部署変更のお知らせ」が届いたとご相談がありました。
20年くらい前に契約して数年間は返済をしたものの、その後は支払いができなくなり、そのままになっているということでした。
自分からはアコムに連絡をしたことはなく、これまでに裁判も起こされた覚えはありませんでした。
JICCにも確認したところ、アコムのブラックリストが登録されていたので、できれば抹消したいとのご希望です。
以下のページで、アコムの対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
アコムから届いた「お取扱い部署変更のお知らせ」を確認したところ、契約内容は以下のとおりでした。
請求内容
- 基本契約日 ➡ 平成17年
- 返済期日 ➡ 平成20年
- 貸付利率 ➡ 27.375%
- 貸付金残高 ➡ 19万円
- 利息 ➡ 80万円
- 合計金額 ➡ 99万円
平成17年にアコムと契約をして、平成20年から滞納していることがわかりました。
アコムの場合、滞納時期については「返済期日」で確認できます。
すでに判決等の債務名義を取得されている場合、請求書の中に「裁判所を通じた法的手続きにより債務金額が確定しました」との記載があります。
債務名義とは
- 裁判上の和解
- 特定調停
- 確定判決
- 仮執行宣言付支払督促
しかし、「お取扱い部署変更のお知らせ」には裁判を起こされているかどうかについての記載は一切ありませんでした。
ご本人の記憶でも裁判所から書類が届いたことはなく、滞納後はアコムと接触していませんでした。
よって、今回は時効の可能性があると判断しました。
時効の条件とは
- 最後に支払いをしてから5年以上経過している
- 10年以内に裁判を起こされていない
- 5年以内に支払いを認めるような話をしていない
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そこで、当事務所が内容証明郵便を作成して、アコムに対して時効の通知を送りました。
すると、アコムからの請求は一切来なくなり、JICCに登録されていたブラックリストも抹消されました。
これにより、99万円の借金を時効の援用によって消滅させることに成功し、信用情報も回復させることができました。
ご依頼件数5000人以上
アドバイス
お取扱い部署変更のお知らせには以下のような記載があります。
ご返済期日から弊社所定の期間を経過したため、お客さまの担当部署は審査第一部管理センターになりましたので、お知らせいたします。
早速ですが、下記のとおり速やかにご返済をお願い申し上げます。
なお、ご返済日に応じて日割り計算による利息または遅延損害金が異なりますので、ご返済前に弊社担当者までご連絡ください。
引用元:アコム株式会社の「お取扱い部署変更のお知らせ」
お取扱い部署が変更になっても特に法的な意味はないので、時効の成否にはまったく影響はありません。
おそらく担当部署が変わったことをアピールして、心理的なプレッシャーをかけるのが狙いだと思われます。
「返済期日」が5年以上前の日付で時効の可能性があると思われる場合は、アコムに電話をかけないようにしてください。
なぜなら、時効期間が経過していることに気づかずに、以下のような話をすると債務を承認したことになって時効が更新(リセット)するからです。
債務承認に該当する発言とは
- 一括では払えない・・・分割のお願い
- お金がないから今は無理・・・支払い猶予のお願い
- 元金だけなら払う・・・減額のお願い
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返済を数ヶ月滞納した場合、信用情報機関(CIC、JICC)にブラックリストが登録されます。
延滞中はブラックリストが登録され続けるので、その間に新たに借り入れをしたり、カードを作ることができなくなります。
ブラックリストを抹消するには完済をするか、時効の援用をするしかありません。
完済した場合はCIC、JICCのいずれもブラックリストが抹消されるまで5年かかります。
これに対して、時効が成立した場合はCICでは5年ですが、JICCでは1~2か月でブラックリストが抹消されます。
CICも延滞してから10年以上経過しているような場合は時効が成立後すぐに抹消されることがあります。
よって、信用情報の回復という点からも完済するよりも時効の援用をした方がよいといえます。
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完済も時効援用もしていないのにブラックリストが抹消される場合があります。
それは債権が譲渡された場合です。
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アコムの子会社にアイアール債権回収というサービサーがあるのですが、債権回収会社は信用情報機関に加盟していません。
よって、アコムがアイアール債権回収に債権を譲渡した場合はCICでは5年、JICCでは1年でブラックリストが抹消されます。
ただし、信用情報は回復しても借金はアイアール債権回収が譲り受けているので、アイアール債権回収から請求を受けた場合はすみやかに時効の援用をおこなう必要があります。
アコムの場合、2000年前後に契約をしている取引をアイアール債権回収に譲渡していることが多いです。
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契約してから20年も経過していると、本人がすでに死亡しているケースがあります。
そのような場合は相続人が時効の援用をおこなうことができます。
ただし、相続開始から3か月以内に裁判所に相続放棄の申し立てをしている場合は、相続放棄申述受理通知書をアコムに郵送すればそれ以上請求を受けることはなくなります。
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相続放棄と時効援用の両方を選択できる場合は、まずは相続放棄をおこないます。
なぜなら、先に時効援用をしてしまうと相続を承認したとみなされて、時効が成立しなかった場合にあとから相続放棄をすることができなくなるからです。
また、すでに3か月以上経過しているような場合でも、アコムからの通知で初めて被相続人に借金があることを知ったようなケースは、その時点から3か月以内であれば相続放棄が受理される可能性があります。
3か月過ぎた相続放棄が認められる条件
- 不動産や預貯金などの遺産を一切相続していない
- 相続時点の調査で借金があることがわからなかった
- アコムからの通知で初めて被相続人に借金があることを知った
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お問い合わせ
当事務所はアコムの時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
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