オリンポス債権回収から「強制執行予告通知」が届いたケースの解決事例
消滅時効が成立【ディックファイナンス → オリンポス債権回収②】
相談内容
千葉県にお住まいの方から、オリンポス債権回収株式会社から「強制執行予告通知」が届いたとご相談がありました。
20年以上前にディックファイナンスで借りた借金でした。
契約してから間もなく返済が滞り、その後は一度も返済をしておらず、連絡もしていないということです。
そこで、当事務所にお越し頂き、時効の援用ができる可能性があるか調べることになりました。
以下のページで、オリンポス債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
オリンポス債権回収から届いた「強制執行予告通知」には以下のような記載がありました。
当社は、受託した下記債権につき、貴殿に対し支払の催告及びご連絡を重ねてお願いしその後、法的手続を申し立てて債務名義を取得するに至りました。
引用元:オリンポス債権回収株式会社の『強制執行予告通知』
債務名義を取られているということは、すでにオリンポス債権回収から裁判を起こされていることを意味します。
その場合、債務名義を取られてから時効が10年延長してしまいます。
よって、一見すると時効の可能性はなさそうですが、オリンポス債権回収から開示された取引履歴を確認したところ以下の事実がわかりました。
請求内容
- 原契約会社 ➡ ディックファイナンス株式会社(CFJ株式会社)
- 現債権者 ➡ 有限会社ラックスキャピタル
- 当初契約日 ➡ 平成13年
- 最終返済日 ➡ 平成15年
- 債権譲渡日 ➡ 平成20年
- 債務名義 ➡ 仮執行宣言付支払督促
- 債務名義取得日 ➡ 平成29年
- 残元金 ➡ 23万円
- 遅延損害金 ➡ 117万円
- 合計請求額 ➡ 140万円
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平成13年にディックファイナンスと契約をして、平成15年から返済が滞り、平成20年にラックスキャピタルに債権が譲渡され、平成29年に仮執行宣言付支払督促を取られていることがわかりました。
債務名義にはいくつか種類があります。
債務名義とは
- 確定判決
- 仮執行宣言付支払督促
- 裁判上の和解
- 特定調停
債務名義を取られると時効がそこから10年延長されます。
よって、原則的に債務名義を取られてから10年以内の場合は時効の援用ができません。
ただし、債務名義が「仮執行宣言付支払督促」の場合だけ、10年経過していなくても時効の援用ができるケースがあります。
それは「最後の支払いから5年以上経過した後」に支払督促を起こされていた場合です。
ただし、最後の返済から5年経過する前に支払督促を取られている場合は時効になりません。
今回は最後の返済が平成15年で、支払督促を取られたのが平成29年だったので、時効の可能性があると判断しました。
そこで、オリンポス債権回収に対して、内容証明郵便で時効の通知を送ることにしました。
その後、当事務所がオリンポス債権回収に電話をして時効の成立を確認しました。
オリンポス債権回収から債務不存在証明書を発行してもらい、140万円の借金の支払い義務を消滅させることができました。
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アドバイス
オリンポス債権回収の請求を放置していると裁判を起こされることがあります。
その場合、裁判所から訴状もしくは支払督促が届きます。
訴状の場合、指定された裁判期日に口頭弁論が開かれます。
もし、口頭弁論を欠席して、答弁書も提出しなかった場合は欠席判決となり、オリンポス債権回収の請求どおりの判決が出ます。
判決が確定した場合は時効が10年延長され、あとから時効だったと主張することはできません。
なぜなら、確定判決には既判力(きはんりょく)があるからです。
既判力というのは、あとから覆すことができなくなる効力です。
支払督促が届いた場合は2週間以内に異議申立書を提出すると、通常の裁判に移行されます。
異議申立書を提出しなかった場合は、仮執行宣言が付された支払督促が届き、そこでも2週間以内に異議申立書を提出することができます。
つまり、支払督促の場合は異議申立書の提出するチャンスは2回ありますが、2回とも提出しないと仮執行宣言付支払督促が確定します。
しかし、仮執行宣言付支払督促は「裁判所書記官による書面審査」のみで発布される債務名義で裁判官が関与していません。
そのため、仮執行宣言付支払督促には確定判決のような既判力が認められていないので、債務者はあとから時効だったと主張することができます。
よって、最後の支払いから5年以上経過した後に仮執行宣言付支払督促を取られている場合は、あとから時効の援用ができるわけです。
10年以内に債務名義を取られていても時効援用できる場合とは
- 債務名義が仮執行宣言付支払督促である
- 最後の支払いから5年以上経過した後に支払督促を取られている
- 内容証明で時効の通知を送る
ご依頼件数5000人以上
これに対して、最後の返済から5年経過する前に支払督促を取られている場合は、その時点で時効の援用ができない以上、あとから時効の主張をすることもできません。
よって、その場合は時効の援用はできませんが、いずれの債務名義であっても取得されてから10年以上経過している場合は時効の可能性があります。
これは確定判決であっても同様です。
よって、オリンポス債権回収から強制執行予告通知が届いても、債務名義の種類と取られた時期によっては時効の援用ができる場合があります。
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ブラックリストに関しては、CFJはすでに貸金業を廃業しており、債権を譲り受けたラックスキャピタルと回収業務を委託されたオリンポス債権回収は貸金業者ではありません。
CIC、JICCといった信用情報機関に登録しているのは貸金業なので、いずれの会社名でもブラックリストは登録されていません。
もちろん、時効の援用をおこなうことであらたにブラックリストに登録されることもありません。
これは、債務名義が確定判決で時効が成立しなかった場合も同様です。
よって、今回のケースであれば時効の成否にかかわらず、信用情報に悪影響は一切ないということになります。
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お問い合わせ
当事務所はオリンポス債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
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