アイアール債権回収の訴状が裁判所から届いたケースの解決事例
消滅時効が成立【アイアール債権回収株式会社④】
相談内容
兵庫県にお住まいの方から、アイアール債権回収の訴状が裁判所から届いたとご相談がありました。
20年以上前に購入した住宅ローンの請求でした。
自宅は10年以上前に任意売却されましたが、住宅ローンが残っていました。
裁判の対処法がわからないということで、当事務所にご連絡を頂きました。
以下のページで、アイアール債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
裁判所から届いた訴状を確認したところ、以下の事実がわかりました。
請求内容
- 契約日 ➡ 平成14年
- 契約会社 ➡ 株式会社池田泉州銀行
- 保証会社 ➡ 近畿信用保証株式会社
- 代位弁済日 ➡ 平成25年
- 任意売却日 ➡ 平成25年
- 債権譲渡日 ➡ 平成25年
- 残元金 ➡ 899万円
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平成14年に池田泉州銀行で住宅ローンを借りたものの、平成25年に返済が滞ったために近畿信用保証が代位弁済をおこない、その後に自宅を任意売却して、債権がアイアール債権回収に譲渡されたことがわかりました。
また、住宅ローンの残元金は899万円でしたが、今回の裁判でアイアール債権回収が請求しているのはそのうちの140万円のみでした。
簡易裁判所では元金が140万円までの金額しか取り扱えないので、アイアール債権回収が簡易裁判所で裁判をおこなうために、意図的に請求額を140万円に減額していました。
保証会社が付いている場合の時効は「代位弁済日」から5年ですが、その後に返済している場合は、最後の支払い日から5年となります。
今回は代位弁済後に任意売却がおこなわれていたので、任意売却から5年で時効になります。
時効が成立するには
- 最後の支払いから5年以上経過している
- 5年以内に支払いの話をしていない
- 10年以内に裁判を起こされていない
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任意売却後は一度も支払いをしておらず、アイアール債権回収に連絡もしていませんでした。
また、裁判を起こされたのは今回が初めてだったので、時効の可能性があると判断しました。
そこで、まずは答弁書で時効の主張をおこない、あわせて当事務所が内容証明郵便を作成して、アイアール債権回収に時効の通知を送りました。
すると、裁判所から取下書が届き、アイアール債権回収からの請求も一切来なくなりました。
これにより、899万円の住宅ローンの支払い義務を抹消することができました。
ご依頼件数5000人以上
アドバイス
住宅ローンも時効の対象になります。
住宅金融支援機構だと時効は10年ですが、民間の銀行から借りている場合は5年です。
住宅ローンを滞納すると、最終的には自宅は競売になりますが、今回は任意売却でした。
任意売却をおこなうことで、競売よりも高い金額で自宅を売却することができます。
今回は売却後の残元金が899万円でしたが、請求額が140万円に減額されていました。
これは時効の可能性がある場合に、債権者がダメ元で裁判を起こす際によく取る手法です。
なぜなら、140万円を超える請求額の場合は裁判所の管轄が地方裁判所になります。
地方裁判所は簡易裁判所と異なり、社員を裁判所に出廷させることができず、原則的に弁護士を代理人に付けないといけなくなります。
また、請求額に比例して裁判所に納める印紙代も大きくなります。
そのため、時効の援用をされると勝ち目がない場合、なるべく裁判費用を抑えるために、あえて簡易裁判所で裁判をすることができる140万円に減額することが珍しくありません。
よって、債権者が一部請求しかしてこない場合は、時効の可能性があると疑った方がよいです。
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裁判を起こされた場合は絶対に放置しないでください。
なぜなら、時効の可能性があっても、指定された裁判期日までに答弁書を提出しなかった場合は、アイアール債権回収の請求どおりの判決が出てしまうからです(欠席判決)。
これに対して、答弁書で時効の主張をおこなった場合は、裁判を取り下げてくるケースがほとんどです。
ただし、今回はあくまでも140万円の部分に対する一部請求です。
そのため、裁判が取り下げになっても別途、内容証明郵便で時効の通知をアイアール債権回収に送らないと、住宅ローン全体に対して時効の援用をおこなったことになりません。
また、裁判が取り下げになった場合は答弁書で時効の主張をしたこと自体がなかったことになります。
そのため、取下書が届いたからといって、それで安心しているとその後にアイアール債権回収から再度請求を受けるので別途、内容証明郵便で時効の通知を送っておく必要があります。
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住宅ローンを滞納した場合、全国銀行個人信用情報センター(KSC)にブラックリストが登録されますが、保証会社が代位弁済をおこなった場合は5年で抹消されます。
ただし、保証会社が加盟している信用情報機関(CIC、JICC)に新たにブラックリストが登録されますが、こちらも債権回収会社への債権譲渡から5年で抹消されます。
債権回収会社(サービサー)は信用情報機関に加盟していないので、債権譲渡から5年で信用情報は回復しています。
ただし、借金自体は残っているので、請求書が届いた場合はすみやかに時効の援用をおこなう必要があります。
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お問い合わせ
当事務所はアイアール債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
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