アビリオ債権回収からハガキで「ご通知」が届いたケースの解決事例
消滅時効が成立【アビリオ債権回収株式会社】
相談内容
千葉県にお住まいの方から、アビリオ債権回収株式会社から圧着ハガキで「ご通知」が届いたとご相談がありました。
20年くらい前に借りた借金の請求らしく、損害金だけで120万円になっており、とてもじゃないが支払える金額ではないのでどうにかならないかと思っていろいろ調べていたら当事務所を見つけてご連絡を頂きました。
元金は30万円とそれほど高額ではありませんが、20年近く滞納していたので、損害金が元金の4倍くらいになってしまっており、トータルでは約150万円の請求です。
このような金額をいきなり請求されて、ご本人は非常に困惑されていました。
以下のページで、アビリオ債権回収株式会社の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
今回は20年くらい前に借りた借金ということだったので、まずは時効の可能性を検討しました。
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そこで、アビリオ債権回収から送られてきた「ご通知」の内容を確認したところ、以下の事実が判明しました。
請求内容
- 契約会社 ➡ 株式会社クオークローン(現:クラヴィス)
- 契約日 ➡ 2005年
- 期限の利益喪失日 ➡ 2006年
- 債権譲渡日 ➡ 2007年
アビリオ債権回収の「ご通知」によると、2005年にクオークローンと契約をして、2006年から滞納が始まり、2007年に債権が譲渡されたことがわかりました。
つまり、10年以上前から滞納が始まっていたということになります。
借金の時効は5年なので、時効期間は問題なさそうです。
あとは債務名義と債務承認の有無です。
債務名義というのは判決や支払督促のことで、過去に裁判を起こされて判決などの債務名義を取られると、時効がそこから10年延長します。
債務名義とは
- 確定判決
- 仮執行宣言付支払督促
- 和解調書
- 調停調書(特定調停を含む)
請求書の中には裁判を起こされたような記載は一切ありませんでした。
裁判を起こされると、裁判所から訴状や支払督促が特別送達という郵便で自宅に届きます。
しかし、ご本人の記憶では、これまでに裁判所からそのような書類が届いたことはありませんでした。
そこで、今回はこれまでに裁判は起こされていないと予想しました。
最後は債務承認による時効の更新です。
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最後の返済から5年以上経過していても、アビリオ債権回収と返済の話をしているような場合は、債務を承認したことになって時効が更新(リセット)してしまいます。
この点について、ご本人に確認したところ、これまでに一度もアビリオ債権回収と話をしたことはないとのことでした。
よって、今回は以下の条件をすべてクリアーしていると思われました。
時効が成立する条件
- 5年以内に返済をしていない
- 5年以内に電話などで返済の話をしていない
- 10年以内に相手から裁判を起こされていない
そこで、当事務所が内容証明郵便で時効の通知をアビリオ債権回収に送りました。
すると、1か月も経たないうちにアビリオ債権回収から時効を受け付けたと書面で回答があり、当初の契約者の原本が返却されました。
これにより、アビリオ債権回収に対する150万円(元金30万円、損害金120万円)の借金が消滅して、1円も支払う必要がなくなりました。
アドバイス
アビリオ債権回収株式会社の親会社はSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)です。
よって、プロミス関係の借金を滞納していると、債権を譲り受けたアビリオ債権回収から請求を受けることがあります。
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今回の契約者である株式会社クオークローンは、当初はリッチ株式会社という社名でした。
その後、株式会社ぷらっと、株式会社クオークローン、株式会社タンポート、株式会社クラヴィスと社名を変更しましたが、2012年(平成24年)に破産しています。
今回は、破産する前の2007年に債権がアビリオ債権回収に譲渡されていたということになります。
アビリオ債権回収の場合、過去に裁判を起こされて債務名義を取られていると、請求書の「備考」欄に以下のような債務名義の事件番号が記載されていることがあります。
債務名義の事件番号
- 〇〇簡易裁判所 平成〇年(ハ)第〇〇号 確定判決
今回のケースでは備考欄に現在の適用利率の記載があるだけで、上記のような債務名義の事件番号が記載されていませんでした。
よって、裁判を起こされたことはないと推測することができました。
最後の返済が5年以上前であれば時効の可能性がありますが、アビリオ債権回収に電話をしてしまうと時効が更新(リセット)されることがあります。
アビリオ債権回収は借金回収のプロなので、時効の援用をされる前になんとか債務承認をさせようとしてきます。
「ご通知」には以下のような記載がありますが、時効期間が経過している場合は絶対に電話をかけないようにしてください。
当社では、[請求内容]欄記載の債権について、先日よりご案内を申し上げておりますが、現在まで解決に至っておらず、困惑しております。
当社といたしましては、ご連絡をいただければ、お支払方法などについて相談に応じる準備はしております。
つきましては、本状到達後、次の期限までにご連絡をいただきますようお願いいたします。
引用元:アビリオ債権回収株式会社の「ご通知」
時効にならならケースであれば、支払い義務があるので、アビリオ債権回収に電話をして分割返済の和解交渉をおこなうことがあります。
しかし、時効の可能性がある場合に和解交渉をおこなってしまうと、債務を承認したことになって時効が更新(リセット)されてしまうのでご注意ください。
債務承認に該当する行為
- 電話で分割や減額のお願いをする
- 借金の一部を支払ってしまう
- 和解契約書を取り交わす
時効が更新されると、今後5年間は時効の援用ができなくなります。
よって、アビリオ債権回収から請求を受けても、安易に連絡を入れないようにご注意ください。
請求書によっては[請求内容]が一切記載されておらず、単に電話連絡をお願いするようなものがありますが、自分の記憶で5年以上支払いをしていなければ、まずは時効の可能性を疑ってください。
電話で少し話をしてしまったような場合でも、会話の内容によっては必ずしも債務承認とは言えない場合があります。
これに対して、振り込みや和解書の取り交わしをしてるような場合は、債務承認があったことの客観的な証拠になってしまうので、時効の援用はできません。
ご自分で判断できない場合はお気軽にご相談ください。
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当事務所ではアビリオ債権回収の時効実績が豊富にありますので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
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