消滅時効の援用における司法書士と行政書士の違い
時効の援用は司法書士と行政書士のどちらにお願いすればいいの?
借金が時効になる場合とは
サラ金やカード会社などの貸金業者はコンピューターシステムで顧客管理しているので、時効が成立しそうな時期になれば、裁判上の請求(訴訟や支払督促)をして消滅時効の成立を阻止してくるのが普通です。
しかし、20~30年以上前はサラ金の全盛期で、各社も取扱件数が膨大できちんと時効の管理ができていませんでした。
そのため、実務上は裁判上の請求がされることなく、そのまま時効期間が経過しているケースが少なくありません。
借金の消滅時効は最後の返済から5年経過で主張することができるようになります。
しかし、あくまでも借主が消滅時効を主張しない限りは、法律上の支払義務は残ったままです。
つまり、単に時効期間が経過しただけでは、当然に借金の支払義務はなくならないわけです。
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内容証明による時効の援用
債務者が支払義務を免れるには債権者に対して、消滅時効の援用を通知しなければいけません。
通知する方法については自由ですが、口頭でのやり取りではあとで言った言わないの争いになるので、必ず書面で通知するようにしてください。
その際、単に普通郵便で送ったり書留で送るのではなく、内容証明郵便という方法で通知するようにします。
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内容証明郵便というのは、誰が誰に対して、どのような内容の書面を送ったのかを郵便局が証明してくれるものです。
よって、内容証明郵便で消滅時効の援用通知を債権者に送付しておけば、あとから債権者がそのような文書を受け取っていない等と言えなくなるわけです。
内容証明郵便には配達証明をつけることができますので、これによってその内容証明郵便がいつ、債権者に配達されたのかについても証明することが可能です。
消滅時効の援用通知は債権者に到達したときに効力を発揮するので、この配達証明というのが非常に重要になるわけです。
司法書士にお願いした場合
内容証明郵便を作成するには一定のルールがあるのですが、そのルールさえ守れば債務者自身が作成することも可能です。
文具屋さん等では、内容証明作成キットのようなものがあるので、それに従って文章を作成し、郵便局で手続きをすれば自分で消滅時効の援用をすることができます。
もし、自分ですることに不安がある場合は、司法書士にお願いすることもできます。
司法書士は請求金額が1社当たりの元金が140万円以下であれば債務者である借主の代理人として、債権者である貸主と直接交渉をすることができます。
内容証明の作成も司法書士がおこない、代理人として消滅時効の援用をおこなってくれます。
司法書士に依頼した時点で、債権者から依頼者である債務者への直接請求が止まります。
よって、すぐにでも直接請求を止めたいような場合は、自分でやるよりは司法書士にお願いした方が良いと思います。
代理人による時効援用なら
司法書士と行政書士の業務範囲
行政書士も内容証明の作成業務をすることができますが、行政書士がおこなえるのはあくまでも内容証明の作成だけです。
行政書士は司法書士のように債務者の代理人となって債権者と直接交渉することはできませんし、内容証明郵便を債務者の代理人として送付することもできません。
ただし、時効の条件を満たしていれば、司法書士と行政書士のどちらで手続きをしても時効が成立します。
これに対して、条件を満たしていなければ、司法書士で代理をしても時効が成立することはありません。
よって、司法書士と行政書士で時効の成否に違いが出ることはありません。
司法書士と行政書士で違いが出るのは「時効にならなかった場合」や「裁判を起こされた場合」です。
なぜなら、司法書士には1社あたりの元金が140万円以下の「裁判外の代理権」だけでなく、「簡易裁判所の代理権」があるからです。
司法書士に裁判外の代理権があるので、時効にならなかった場合にそのまま分割返済の和解交渉に移行することができます。
また、すでに債権者から簡易裁判所に訴えられてしまった場合でも、司法書士であれば訴訟代理人としての対応が可能です。
この点、行政書士は上記のとおり内容証明郵便の作成だけしかできませんので、裁判外の代理権のみならず、当然、裁判上の代理権もありません。
上記の代理権を有する司法書士は一般的に認定司法書士と呼ばれており、司法書士の中でも一定の研修を受けて考査に合格した者だけに認められています。
そのため、司法書士であれば無条件に簡裁代理権があるというわけではないので、お願いする際は認定司法書士かどうかを確認してください。
当事務所は認定司法書士と行政書士の兼業事務所なので、当事務所にご来所頂ける方は司法書士の代理業務、ご来所できない遠方の方は行政書士の代行業務で対応していますので、お気軽にご相談ください。
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