弁済期の定めがない場合
貸金業者からお金を借りた場合、契約内容は契約書の中で細かく決められています。
しかし、個人間での貸し借りの場合、契約書を作成していなかったり、返還時期を決めずに貸す場合も珍しくありません。
もし、返還時期を定めなかった場合、貸した方はいつお金を返してもらえるのか気になるところです。
この点については、民法が
「当事者が返還の時期を定めなかったときは貸主は相当の期間を定めて返還の催告をすることができる」
と定めています。
貸主としては、弁済期の合意がなかったことを主張、立証する必要はなく、弁済期が経過したことを
1. 催告
2. 相当期間の末日の経過
を主張、立証すればOKです。
裁判をすることを前提にしているのであれば、催告は配達証明付の内容証明郵便で借主に通知しておく必要があります。
この内容証明郵便が借主に到達してから、相当期間が経過すれば弁済期が到来したことになります。
なお、民法では相当の期間を定めて返還の催告をするとされていますが、実際には相当の期間を定めて催告しなくても大丈夫です。
つまり、期間を定めずに催告しても、その後、相当期間が経過すれば返還を請求できるわけです。
たとえば、「〇月〇日までに返還せよ」と書かなくても、単に「〇〇万円の返還を請求した」という記載でOKということになります。
では、実際にどのくらいの日数が経てば相当期間が経過したといえるのか。
これについては、1週間をみておけばよいと思われます。
また、催告を内容証明郵便ではなく訴状によっておこなう場合も実務上はよくあります。
こうすることで、遅延損害金の起算日を訴状送達の日の翌日からとすることができ、特別の主張や立証も不要です。
もし、弁済期の合意があったのであれば、借主はそのことを主張立証することになります。
また、すでに弁済をしたり、借主が貸主に対する別の債権を有していて、その債権と相殺したような事実があれば、借主はそういった事実を主張、立証することになります。
いずれにせよ、お金の切れ目が縁の切れ目とならないように、知人や友人にお金を貸す際は、きちんと契約条件を詰めてきちんと契約書を作成しておくことをおススメします。
なお、貸す方の立場で考えると、強制執行認諾条項付の公正証書で契約書を作成しておけば、返済が滞った場合に裁判をせずに強制執行することができるので、検討してみる価値はあると思います。
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