第三者が後見人に就職した場合

今の日本は、超高齢化社会なので、今後も成年後見の需要は増加すると思われます。

 

成年後見制度が導入された当初は、本人の親族がそのまま後見人に就任することが多かったですが、最近では司法書士等の専門職が後見人に就任する例が増えてきており、司法書士等の専門家が後見人になるのを専門職後見人といいます。

 

司法書士等が後見人に就任した場合、最初の段階では本人に関する事情が全く分かりません。

 

そのため、当該後見申立に関する記録の閲覧をしなければいけませんが、こういった事件記録は原則非公開とされています。

 

よって、全くの第三者が記録の閲覧やコピーの申請をしても、裁判所が許可することはありませんのでご安心ください。

 

なぜなら、事件記録には極めて重要な個人情報が記載されているからです。

 

後見人に就任した者は、本人の財産関係も把握する必要がありますが、これについては申し立て時の財産目録を見ればわかります。

 

しかし、預貯金の記録や関係者からの聴取等により、財産目録に記載されていない財産が見つかることもあるので、必ずしも財産目録の記載が正しいというわけではありません。

 

そして、本人の実際の生活状況を確認するため、本人の生活場所に赴く必要があります。

 

また、実際に本人を介護している方や財産を管理している方と面談し、話を聞いておくことが大切です。

 

なお、後見人には本人の財産管理権がありますので、今までに預貯金等の財産を所持していた者から、それらの現物を引き渡してもらう必要があります。

 

中には、後見人に対して、引渡しを拒絶する者もいますが、粘り強く説得して、それでも引き渡しに応じない場合は、預貯金や保険証券等であれば再発行をしてもらい、最終的には裁判上の手続きを取らなければいけないこともあります。

 

ところで、預金通帳や保険証券を預かっただけでは、親族等が直接金融機関に行ったりすることで、お金を引き出されてしまうおそれがあるので、事前に成年後見人に就任した旨を金融機関等に通知しておく必要があります。

 

また、年金受給者であれば、今後の郵便物の送付先を後見人宛てに変更しておくことも忘れてはいけません。

 

しかし、国民健康保険証等は本人の住所地でないと送付してくれない場合もありますので、そういった場合には事前に役所と相談しておく必要があります。

 

正式に後見人に就任した場合は、法務局で登記事項証明書を発行してもらえるので、それを各機関に届けておくことが安全です。

 

このように、司法書士等の第三者が後見人に就任した場合には、まずは本人の生活状況や財産状況を正確に把握することが大切なわけです。

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