裁判離婚の条件③

宗教や信仰の違いが理由で裁判離婚が認められるかどうかですが、信仰の自由は憲法上の基本的人権として尊重されており、

 

それは当然のごとく夫婦間においても尊重されなければなりません。

 

しかし、一方の宗教活動が夫婦の協力義務に違反し、婚姻を継続しがたい重大な事由と判断されれば離婚請求が認められる可能性があります。

 

なぜなら、夫婦間においては相互の協力によって、その共同体を維持するための協力義務があるところ、

 

夫婦各人の信仰の自由も共同体を維持すべき義務との関係で一定の制約を受けることになるからです。

 

次に、性的な問題がある場合です。

 

一口に性的な問題といっても、色々なケースがあると思いますが、大きく分けると以下の3つに分けられます。

 

1. 性交不能

 

2. 性交拒否

 

3. 性的異常

 

1.の性交不能の場合ですが、日本では性の不能を婚姻の取り消し、無効の原因とした規定はありませんが、

 

年齢や健康状態などから性交渉を度外視した婚姻でない限り、通常の結婚生活に入った夫婦にとって、性的不能は婚姻を継続しがたい重大事由に該当する可能性があります。

 

同様に、2.の性交拒否も程度によっては該当することがあります。

 

3.の性的異常には様々なタイプがありますが、近年は結婚後に同性愛が発覚するケースが増えています。

 

こういった場合も程度によっては離婚が認められることがあります。

 

なお、離婚の成立に加えて慰謝料請求ができるかどうかですが、自己の性交不能を隠したまま結婚し、その後も性交不能が続いた事例で200万円の慰謝料が認められた判例や、

 

性交拒否を続けたため、ことごとく融和を欠く状況になって協議離婚したケースで150万円の慰謝料が認められた判例があります。

 

次は、近年増えている熟年離婚です。

 

熟年離婚の定義としては、一般的に夫婦双方が60歳以上であることを指しているようです。

 

このような高齢者の離婚の特徴としては

 

1. 具体的な離婚原因がない

 

2. 争点が財産の分与に集中している

 

という点です。

 

離婚原因が明確でないため、裁判離婚において離婚が認められるかどうかは、婚姻を継続しがたい重大な事由があるかどうかにかかっています。

 

しかし、この認定は非常に微妙であるため、第一審と控訴審で結論が異なる事例もあります。

 

また、若年層の離婚で争点となる親権や養育費、面接交渉が争点になることはなく、離婚後の生活保障が重大な争点となり、

 

どのような資産が形成されたか、財産分の対象となる財産はどれかが争われます。

 

この点、一般的には夫婦がそれぞれの住居を確保できるだけの経済的余裕がある場合は少なく、

 

離婚後にローンを組むこともほぼ不可能なので、多くの場合で居住用財産の取り合いとなります。

 

また、離婚後の生活の保障となると、退職金の分与や年金の分割が問題となりますが、年金の分割については、法改正により、離婚時の年金分割が可能となりました。

 

ただし、年金分割を得て分割された年金を受給するためには、原則として年金保険料を25年以上納付していることが条件となります。

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