相続放棄が成立【アコム株式会社】
アコムから被相続人宛に請求書が届いたケースの解決事例
相談内容
千葉県にお住まいの方から、つい先日亡くなった父宛にアコムから請求書が届いているとご相談がありました。
ご本人曰く、父が亡くなる前からアコムから請求書が届いていることは把握していたということです。
時効の可能性があるのであれば援用したいということでした。
そこで、アコムから届いている請求書の内容を確認するために当事務所にお越し頂きました。
以下のページで、アコムの対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
相続人が持参されたアコムの請求書を確認したところ、契約内容は以下のとおりでした。
ローンご契約内容
- 返済期日 ➡ 平成25年
- 貸付金残高 ➡ 19万円
- 遅延損害金 ➡ 44万円
- 合計金額 ➡ 63万円
- 示談締結日 ➡ 平成30年
契約日は不明でしたが、平成25年から支払いができなくなり、平成30年に示談していたことがわかりました。
裁判外で示談(和解)をしていた場合、時効期間は5年のままです。
これに対して、アコムから裁判を起こされて債務名義を取られている場合は時効が10年となります。
債務名義とは
- 和解調書
- 確定判決
- 仮執行宣言付支払督促
- 調停調書
そこで、裁判を起こされたかどうかを確認したところ、請求書に「裁判所を通じた法的手続きにより債務金額が確定しましたが、いまだにご返済がありません」との記載がありました。
これにより、すでに裁判を起こされて債務名義を取られていることがわかりました。
アコムの場合、示談締結日が債務名義を取得した時期になっていることが多いので、おそらく平成30年に裁判を起こされたものと推測できました。
債務名義を取得されていた場合の時効条件
- 債務名義を取られてから10年以上経過している
- 10年以内に支払いや返済の話をしていない
- 10年以内に差し押さえをされていない
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よって、今回は債務名義を取得されてから10年経過していないので、時効の可能性はないと判断しました。
その旨をご本人に伝えたところ、被相続人には相続するような遺産が何もなく、相続開始から3か月以内であったため、裁判所に相続放棄の申し立てをおこなうことにしました。
その後、裁判所に相続放棄の申し立てをしたところ、無事に相続放棄が受理されました。
そこで、相続放棄申述受理通知書の写しをアコムに郵送したところ、それ以上アコムから請求を受けることはなくなりました。
これにより、被相続人には63万円のアコムの借金がありましたが、相続放棄によって支払う必要がなくなりました。
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アドバイス
被相続人が借金を残したまま亡くなった場合、借金も相続の対象になります。
この場合、借金だけを放棄することはできません。
つまり、相続放棄をおこなうと借金だけでなく、預貯金や不動産を含めたすべての遺産の相続権がなくなります。
そのため、借金の額がその他の遺産よりも大きいことが明らかであるような場合に相続放棄をおこなうことが多いです。
ただし、相続放棄は相続開始後3か月以内におこなう必要があります(これを「熟慮期間」といいます)。
よって、被相続人が死亡してから3か月以内の間に遺産の調査をおこない、相続放棄をするのかどうかを判断する必要があります。
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もし、相続放棄をすべきかどうかを3か月以内に決めることができない場合は、裁判所に相続期間を伸長してもらうことができます。
相続人が複数いる場合、相続人の1人が相続期間の伸長の申し立てをしても、他の相続人の期間には影響ありません。
つまり、相続人全員が期間の伸長をしたいのであれば、各相続人が相続期間の伸長の申し立てをおこなう必要があります。
裁判所が伸長を認めた場合、通常は1~3か月延長されます。
ただし、裁判所が伸長を認めるのかどうかの判断をするのに1~2週間はかかります。
よって、3か月の直前に伸長の申し立てをするのではなく、熟慮期間が満了する1か月程度前までには伸長の申し立てをしておくのが安全です。
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被相続人と疎遠にしていて、債権者から請求を受けるまで被相続人が死亡したこと自体を知らなかった場合は、被相続人が死亡してから何年経過していても相続放棄が可能です。
なぜなら、被相続人が死亡した事実を知らない以上、そもそも熟慮期間は進行していないからです。
よって、債務者の死亡とそれによって自分が相続人であることを知ってから3か月以内であれば相続放棄が受理されます。
相続時点の調査では借金があることがわからず、債権者からの通知で初めて被相続人に借金があったことが発覚することがあります。
そのような場合は被相続人の死亡から数年が経過していても、債権者からの通知で借金の存在を知ってから3か月以内であれば相続放棄が受理される場合があります。
ただし、すでに預貯金や不動産などの遺産を相続している場合は、その後に相続放棄をすることはできません。
3か月過ぎても相続放棄が認められる条件
- 被相続人の遺産を一切相続していない
- 相続時点の調査では借金があることがわからなかった
- 債権者からの通知で初めて借金の存在を知った
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時効援用と相続放棄の両方を選択できる場合は手続きをおこなう順序に気をつける必要があります。
なぜなら、先に時効援用をしてしまうと相続を承認したとみなされて、あとから相続放棄できなくなるおそれがあるからです。
特に、時効が成立するかどうかわからない場合に安易に時効の援用をおこなってしまうと、時効の更新事由があった場合に相続放棄に切り替えることができなくなる可能性があるのでご注意ください。
よって、相続できるような遺産がほとんどなく、借金の方が明らかに多いような場合はまずは相続放棄をして、熟慮期間の経過によって相続放棄が受理されなかった場合に時効の援用をおこなうのが安全です。
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