遺言書が見つかった場合の手続き
自筆証書遺言が見つかった場合、裁判所で検認手続をする必要があります。
この手続に通常は1~2ヵ月はかかりますので、検認手続が不要な公正証書遺言に比べればスピード感では劣ります。
なお、検認手続をしてもしなくても、遺言自体の有効無効には関係ありませんが、検認手続をしないと最高で5万円の過料に処せられる可能性があります。
また、銀行も検認手続を経ていない遺言書では、相続手続きに応じてくれません。
検認手続が終わったら、相続人が遺言 の内容に従って相続手続きをおこなうことになります。
もし、遺言で遺言執行者が定められていたら、その者が手続をおこないます。
相続人全員が遺言の内容と全く異なる遺産分割協議を成立させることもOKです。
なお、自分で書く遺言(これを「自筆証書遺言」といいます)には、必ず日付を書く必要があります。
もし、日付を書き忘れてしまったらどうなるのか?
残念ながら、その遺言は無効になります。
日付なんてなくてもよさそうですが、そうはいきません。
なぜならば、遺言書は新たに書き直すこともでき、その場合は、最新の遺言書が有効になり、内容が重複している場合、前の遺言が撤回されたことになるからです。
よって、日付がない遺言 は無効にせざるを得ないことになります。
なお、「平成○年○月吉日」といった場合も無効ですから注意して下さい。
亡くなった方が、公正証書遺言を作成していたかどうかを、公証人役場で調べることができます。
公証役場では、平成元年以降に公正証書遺言を作成した人の、氏名・生年月日・男女の別をコンピューターで管理しています。
そのため、誰が、いつ、どこの公証役場で作成したかが分かるのです。
ただ、実際に公正証書の写しをもらうためには、それを作成した公証役場に出向く必要があります。
自筆証書遺言では、いざ、遺言 どおりに遺産を分配しようとしても、原本が1通しかないので、それを使いまわず関係上、手続に時間がかかってしまいます。
しかし、公正証書遺言では、原本は公証役場に保管されていますが、お願いすれば副本を何通でも作成してもらえるので、それらを使いまわすことで、スピーディに不動産や預貯金の名義変更や手続を行うことができます。
なお、遺言の中で遺言執行者が指定されている場合は、その人が相続人を代表して手続を行うことになります。
また、公正証書遺言は、自筆証書遺言のように裁判所で検認手続を受ける必要がなく、自由に開封できるので、その点からも実行までの時間が早いです。
自筆証書遺言では、この検認手続が必要ですが、それをしないで開封しても、遺言の効力に影響はありませんが、過料(罰金のようなもの)を請求される可能性があります。
次に、あらかじめ遺言書で遺言執行者が指定されている場合です。
遺言執行者が決まっている場合の簡単な流れは以下のとおりです。
1. 遺言書にあらかじめ遺言執行者を書いておく
↓
2. 相続発生
↓
3. 相続人に遺言執行者であることを通知
↓
4. 相続財産目録の作成と相続人への交付
↓
5. 遺言に基づき各種変更手続き
このような流れで、遺言執行者は遺言書の内容に沿って実行することになります。
もし、遺言書 で遺言執行者が決められていなくても、相続人が家庭裁判所に申し立てをして選んでもらうこともできます。
なお、遺言執行者は相続人の中の誰か一人が指名されることが多いですが、複数でも構いません。
また、相続人の中からではなく、弁護士等の専門家を指名してもOKです。
いずれにせよ、遺言執行者をあらかじめ指定しておいた方が、その後の名義変更がスムーズにいくといえるでしょう。
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