相続放棄した場合の相続分

相続放棄をした場合に、自分以外の相続分にどのような影響が出るかについてです。

 

例えば、父、母、長男、長女の4人家族で、父が死亡した場合。

 

相続人は、母、長男、長女の3人で、その相続分は母が4分の2、長男が4分の1、長女が4分の1です。

 

もし、長女が母の相続分を増やしてあげたいと思い、家庭裁判所に相続放棄をしたとします。

 

この場合、長女の希望どおりに母の相続分が増えるのかどうかが問題ですが、結論から言うと母の相続人は半分で変わりありません。

 

これに対して、長男の相続分が4分の1から4分の2、つまり母と同じく半分に増加します。

 

よって、長女は自分が相続放棄することで、母の相続分を増やしたいと思っても、結果的には母の相続分は増えずに、長男の相続分のみが増えるだけです。

 

これは、相続人が配偶者と第一順位の子である場合の法定相続分がそれぞれ2分の1ずつと規定されているからです。

 

第一順位の子が複数名いる場合でも、子の相続分は全体の2分の1で変わりなく、あくまでも2分の1を頭数で割ります。

 

その結果、いくら子の人数が2人から1人になっても、母の相続分は増えないのです。

 

これに対して、もともとの相続人が母と長女だけであった場合は話が変わります。

 

というのも、長女が相続放棄をすることで、長女は相続開始の時から相続人ではなかったものとされます。

 

この場合、第二順位の相続人(父の直系尊属、長女からみて祖父や祖母)がいたと仮定すると、その相続分は妻である母が3分の2、亡くなった被相続人の両親全体で3分の1なので、結果として長女の相続放棄により、妻の相続分は2分の1から3分の2に増加します。

 

仮に、被相続人の直系尊属がすでに死亡しており、第三順位の兄弟姉妹が相続人になる場合、長女の相続放棄により母の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1になります。

 

もし、第二、第三順位の相続人が一人もいなければ、長女の相続放棄により、相続人が母1人となります。

 

よって、長女が母の相続分を増やしてあげたいと思っているのであれば、このケースでは家庭裁判所に相続放棄を申し立てるのではなく、母と長女、長男の相続人全員の話し合いで、母の割合が2分の1以上となるような遺産分割協議をするのが良いと思われます。

 

家庭裁判所への相続放棄は借金がある場合にはもちろん有効な手続きですが、特に借金がないような場合は、遺産分割協議でたりるケースも多々ありますので、まずは千葉の稲毛司法書士事務所にお気軽にご相談ください。

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