保証書制度の廃止
不動産登記法の改正により、それまでの保証書制度が廃止されました。
保証書というのは、所有者が登記済証(権利証)を紛失した場合の代替制度です。
旧法では、いわゆる権利証がなくても保証書を添付することで登記を申請することができました。
しかし、新法ではこの保証書制度が廃止され、新たに本人確認情報提供制度というものができました。
なお、保証書制度の際にあった事前通知制度は、新法でも引き続き利用できますが、その内容には多少の変更が加えられたので、新事前通知制度といってよいと思います。
つまり、新法では権利証がない場合には、新事前通知制度を利用するか、本人確認情報提供制度を利用するかを選択できるようになったわけです。
では、次に新たな事前通知制度について説明します。
旧法での事前通知制度は所有権に関する登記に限定されていましたが、新法での事前通知制度では所有権以外の登記にも適用されることになりました。
つまり、所有権移転登記だけでなく、抵当権設定登記などでも事前通知がされることになったわけです。
また、通知方式も変わり、旧法では普通郵便だったのが、新法では本人限定受取郵便になりました。
なお、旧法では登記義務者の現在の住所地にのみ通知されていましたが、なりすましを防止するために新法では、申請前3ヶ月以内に住所移転の登記がされている場合は、前住所に対しても通知がされることになりました。
通知に対する本人の間違いない旨の申出については、旧法では通知が発送された日から3週間以内でしたが、新法では2週間以内に短縮されることになりました。
ただし、本人が海外にいる場合は、旧法では特に延長規定はありませんでしたが、新法では4週間に延長され配慮されることになっています。
最後に、受付番号ですが、旧法では登記申請時は仮受付にすぎず、本人から事前通知に対して間違いない旨の申出があってから本受付という流れでしたが、新法では最初の申請で本受付となります。
これにより、旧法では仮受付中であれば、登記事件処理中とはならないため、登記事項証明書なども取得できましたが、新法では本受付となるため、当該登記が完了するまでは登記事項証明書などは取得できないことになったの注意が必要です。
次は、新法で新たに創設された本人確認情報提供制度についてみていきます。
これは、権利証がない場合に、事前通知をしないでも、司法書士が本人と面談をして、その確認情報を提供するという制度です。
本人確認情報が提供されることで上記の事前通知を省略することが可能となります。
この制度の最大のメリットは、本人確認情報を提供することで事前通知を省略することができるので、迅速に登記手続きを完了することができるという点です。
では、本人確認情報の要件をみていきたいと思います。
まず、本人確認情報を作成できるのは、司法書士などの資格者代理人に限られます。
そして、その資格者代理人が必ず本人と面談をする必要があります。
面談の際には、本人であることを確認するために運転免許証などの身分証明書の提示を受ける必要があります。
当然のことながら、この身分証明書は有効期限内のものである必要があります。
そして、資格者代理人は本人と面談した日時や場所などを記載して、本人確認情報を作成することになります。
なお、登記義務者が法人である場合、その法人が大企業であればあるほど、その代表者と直接面談をすることは困難となります。
その場合は、代表者から当該登記申請について権限を委譲された担当者と面談すれば良いとされていますが、その場合には権限が委譲されていることを証明する業務権限証明書が必要となります。
以上のとおり、新法においては権利証がない場合に、上記2つの制度を選択することが可能となり、結果として登記の迅速化が図られることになりました。
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