不動産登記と事前通知制度
不動産登記法の改正により、従来の登記済証は廃止され、新たに登記識別情報制度が創設されました。
登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組み合わせにより、不動産および登記名義人となった申請人ごとに定められるものです。
登記の申請を、オンライン申請の方法でする場合には、申請人またはその代理人司法書士が、登記識別情報を公開鍵暗号法を用いて暗号化して送信し、登記官がこれを復号して確認する方法によります。
これに対し、書面申請の場合、登記識別情報を記載した書面を申請書に添付して提出する方法をとります。
具体的には、登記識別情報の通知を受けた際に交付された書面またはその写しをそのまま用いたり、適宜の用紙に登記識別情報を記載したものを用いてもOKです。
なお、これらの書類は封筒に入れて封をし、その封筒に登記識別情報を提供する申請人の氏名または名称及び登記の目的を記載し、登記識別情報を記載した書面が在中する旨を記載しておきます。
もし、登記識別情報を提供することができない正当な理由がある場合、事前通知もしくは資格者代理人による本人確認情報の提供により登記申請をおこないます。
まず、事前通知制度ですが、申請人が登記識別情報または登記済証を提出できないことについて正当な理由がある場合、登記官は登記義務者に対して、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときはその旨の申出をすべき旨に通知します。
この通知に対する登記義務者による申出の方法は、登記の申請がオンライン申請であったか、書面申請であったかにより異なります。
オンライン申請の場合は、登記官から通知のために送付を受けた書面の内容を通知番号等を用いて特定し、申請の内容が真実である旨の情報に電子署名をおこなったうえで登記官に送信します。
これに対し、書面申請の場合は、従来どおり法務局から届いた申出書に、申請の内容が真実である旨を記載し、記名押印したうえで登記所に提出します。
登記義務者が自然人の場合、事前通知は原則的に本人限定郵便で受け取ることになるので、義務者本人が受け取る必要があり、代理人による受取は認められていない。
よって、本人が入院等で受け取りにいけない場合や本人確認資料を持っていないと事前通知を利用することはできないということになります。
なお、申出期間については、登記官が通知を発した日から2週間(外国居住の場合は4週間)とされています。
また、なりすまし防止のために、当該申請の3ヶ月前までの間に登記義務者が住所変更登記をしている場合は、その前住所宛てに当該申請があった旨をの通知がなされます。
事前通知の他には本人確認情報の提供の方法がありますので、そちらはまたの機会に書きたいと思います。
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