登記識別情報と本人確認情報の提供

不動産登記法の改正により、従来の登記済証制度に代わって登記識別情報制度が導入されました。

 

現時点で、登記識別情報が有効であることの証明を請求する、いわゆる有効証明の請求をできる者は登記名義人またはその相続人その他の一般承継人です。

 

なお、登記名義人の住所氏名が登記記録と合致しない場合、または登記名義人の相続人その他の一般承継人からの証明請求のいずれの場合でも変更はまたは相続等があったことを証明する情報を提供する必要はありません。

 

また、司法書士等の資格者代理人も有効証明請求することが可能で、代理人の権限を証する情報の提供も不要です。

 

登記申請の際は、原則的に登記識別情報を提供する必要がありますが、提供することができない正当な理由として、以下の5つが認められています。

 

1. 不通知

 

2. 失効

 

3. 失念

 

4. 管理上の支障

 

5. 円滑な取引阻害

 

管理上の支障というのは、たとえば土地を分筆したような場合です。

 

分筆後の各土地の登記識別情報は、すべて分筆前の登記識別情報と同一になるので、分筆後の各土地をそれぞれ別の第三者に売却するような場合、

 

提供する登記識別情報がすべて同一のものとなるので、複数回にわたり同一の登記識別情報を提供することになり、適切に管理するのに支障が出ます。

 

次に、円滑な取引の阻害です。

 

そもそも、オンライン申請の際に作成する登記識別情報様式の作成は、書面申請の場合に比べて面倒ですし、

 

また、法務局への有効証明請求自体に30分から1時間程度の時間を要するので、多数の登記識別情報を提供する場合に該当します。

 

登記完了後の登記識別情報通知書の受け取りについては、郵送等により受け取ることもできますし、登記所において交付を受けることもできます。

 

資格者代理人が登記識別情報を書面で受け取る場合、委任状に「登記識別情報の受領に関する一切の権限」等の特別の委任の記載があれば、交付を受けることができます。

 

オンライン申請や特例方式での申請の際に、登記識別情報を提供するには、登記識別情報提供様式を作成する必要があり、登記識別情報を記載した書面や通知書の写し、PDFファイル等により提供することはできません。

 

また、特例方式で登記識別情報を資格者代理人が提供する場合、委任状に「登記識別情報の暗号化に関する一切の権限」等との記載が必要であるとされています。

 

次に、本人確認情報の提供ですが、本人確認情報を電子署名したPDFファイルで提供した場合には、別途、紙の本人確認情報を提供する必要はありません。

 

なお、面識がないときの本人確認情報には運転免許証等の身分証明書の写しのPDFファイルを付ける必要はありません。

 

また、本人確認情報を電子署名したPDFファイルを提供したということは、資格者代理人であることの証明を合わせてしていることになるので、別途、職員証明書の提供は必要ありません。

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