信販会社特有の主張
オリエントコーポレーションや三菱UFJニコスを筆頭に、多くの信販会社ではショッピングのみならず、キャッシングも利用することができるのが普通です。
そして、平成20年以前は、多くの信販会社で利息制限法を超える金利でキャッシングサービスをしていました。
こういった信販会社の場合、カード作成時に基本契約を締結し、あとは契約が自動更新されていることがほとんどです。
そして、1つの基本契約の中で、複数の返済方法が設定されている場合も多く、その返済方法にはリボルビング払い、一括払い、回数指定払い等があり、借主は、規定された返済方法を選択しながら利用しています。
過払い金返還訴訟では、数年前まで返済方法の違いで、取引が一連になるのか分断になるのかということ自体が争点になっていませんでしたが、近年は、オリコやニコスが翌月一括払いや回数指定払いの場合には、それぞれの貸付けごとに引き直し計算するべきであると主張してくることが増えています。
しかし、借主側とすれば、もともとは1つの基本契約に基づく取引であって、返済方法が違うからといって、それぞれが別々の取引になるとは考えていませんし、貸主側もそういった取扱いで顧客との取引を分けて管理していることもありません。
この点については、借主側から開示される取引履歴からも明らかで、たとえ、返済方法が翌月一括払いであっても、オリコやニコスは、一連計算した履歴を開示してきます。
にもかかわらず、訴訟を起こされるや、それぞれの貸付けごとに取引が分断される等と主張してくるわけです。
なお、オリコやニコスも、さすがに返済方法がリボルビング払いの場合には、貸付残高が0になることがないので、取引の分断を主張してくることはありませんが、翌月一括払いの場合には、個々の貸付けごとに取引が分断され、すでに10年が経過しているものについては消滅時効を援用すると主張してきます。
そもそも、信販会社の場合、基本契約は当初締結した1つであり、返済方法が異なるからといって一連計算ができないというわけではありません。
多くの裁判官も信販会社の主張を相手にすることはないのが現状ですが、中には変わった裁判官もおり、信販会社の主張を採用することも0ではありません。
とはいえ、きちんと反論しておかないと、万が一ということもあります。
こういった主張に反論する際のポイントとしては、あくまでも基本契約は1つだというところです。
その上で、信販会社の貸付けは証書貸付ではなく、過払い金充当合意を含んだ1つの基本契約に基づくものであって、その契約の中で規定されている返済方法の中から、リボ払いや翌月一括払い、回数指定払いを選択したに過ぎないということを強調しておくのがよいでしょう。
すなわち、信販会社との契約締結段階では、返済方法を予め選択することが契約上認められているのであり、そういった包括的な金銭消費貸借取引の中で、借入れと返済を繰り返してきたのですから、その返済方がリボ払いであろうが翌月一過払い、回数指定払いであろうが、取引は全体を通じて1つであり、一連計算できるのは当たり前というわけです。
最高裁が認めた過払い金充当合意が、継続した借入れと返済が想定されている取引の中で発生した過払い金は、新たな貸付けに充当されるという理論である以上、返済方法の違いによって充当されたり、充当されなかったりするということはあり得ず、取引全体を通じて一連計算することは当然の帰結です。
このように、過払い金充当合意を含む基本契約が1つである以上、一連一体計算すべきというのが裁判例でも主流です。
しかし、万全を期すためには、同じカードを利用していたとか、引き落とし口座や引き落とし日時も同じであった点も指摘しておくのが良いでしょう。
多くの裁判例でも、1つの基本契約に基づいて、同一のカードを利用して、同じ方法によって借入れと返済をしていたものなので、(結果として取引の一部に個別的な対応関係が認めらるとしても)全体として1つの取引と認められる等と言った理由で、信販会社独自の主張を退けています。
実務上は、オリコやニコスも代理人に弁護士をつけて争ってくることもありますが、最後まで和解にならずに判決まで行くことは少ないです。
多くの場合では、返金日までの利息を付けて和解になっており、時間稼ぎの色合いが強いのではないかと思われます。
とはいえ、司法書士等の専門家に頼まず、本人訴訟で回収するのは正直骨が折れますので、できればお近くの司法書士等にお願いした方が安全と思われます。
当事務所も千葉県近郊のお客様を中心に数多くのご依頼を受けてきましたので、自分でやるのが不安な方は、お気軽にご相談ください。
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