解散と清算
株式会社をたたむにはきちんと登記上も会社を解散し、清算させる必要があります。
ところが、現実的には経営が立ち行かなくなると、会社をそのまま放置し、登記上もそのままにしっ放しにしてしまうということが多いです。
商業登記法上では、株式会社は最後の登記から12年が経過すると休眠会社のみなし解散に該当します。
これは、株式会社の取締役の任期が従来の2年から最長10年に延長された影響で、休眠会社のみなし解散もそれと連動して12年に延長されました。
なお、ここでいう最後の登記には登記官の職権による登記は含まれません。
休眠会社になると法務大臣により官報公告がなされ、2ヶ月以内に管轄登記所に事業を廃止していないと届け出ないと、その2ヶ月の期間満了のときに解散したものみなされてしまいます。
また、2ヶ月の間に休眠会社に関する登記がされた場合は解散したものとはみなされませんので、公告がなされた場合は期間内に登記をするか廃業していないとの届出のいずれかをすれば解散を逃れることができます。
なお、管轄の登記所は官報公告があった際は、その旨の通知を休眠会社に対して発しなければならないとされていますので、官報に気づかなくても法務局からの通知で公告が出されていることを知ることができます。
ところで、自ら会社をたたむ場合にはそれなりの手順を踏む必要があります。
簡単に流れを見ていくと、まず、「解散⇒清算⇒清算結了」といった感じになります。
解散には、定款で定めた存続期間の満了もしくは解散事由の発生、株主総会の決議があり、これらに該当する場合には2週間以内に登記をしなければいけません。
これに対して、会社の解散を命じる裁判が確定したとき等は、裁判所書記官が職権で登記所に解散の登記を嘱託することになります。
なお、法人である会社が破産手続き開始決定を受けたときは、裁判所書記官が職権で解散の登記ではなく、破産手続開始の登記をします。
解散の登記がなされると、取締役や代表取締役等の登記は職権で抹消されますが、会社が解散しても監査役は退任しないので監査役の登記が抹消されることはありません。
また、組織変更や合併による解散の場合は、その登記記録が閉鎖されるので役員等が個別に抹消されることはありません。
ところで、会社が破産手続開始決定を受けた場合、取締役と監査役は当然にその地位を失います。
しかし、上記のとおり、破産の場合は登記上は解散の登記がされるわけではないので、役員等の登記が個別に抹消されることはありません。
解散によって代表取締役は当然にその地位を失うので、実際に解散の登記を申請するのはその会社を代表する清算人となります。
解散の登記と清算人選任の登記は同時に申請する必要はありませんが、実務上はまとめて同時に申請することが多いです。
同時に申請しないと、解散登記の際に代表清算人の資格を証明する書面を添付する必要が出てきますが、同時申請であれば清算人の登記で添付する書面によって代表清算人の資格が明らかになるので、別途添付する必要はありません。
では、誰が清算人になるかですが、清算開始時の取締役、定款で定める者、株主総会で選ばれた者のいずれかとなります。
もし、上記のいずれにも該当する者がいなければ、裁判所が選任することになります。
定款もしくは株主総会で選ばれた清算人は、会社と委任関係にあるので就任承諾書が必要になりますが、もともと取締役だった者がそのまま清算人にスライドした場合には就任承諾は不要です。
これは、もともと取締役であった清算人は法定清算人といわれ、その者の就任承諾の有無に関わらず、清算に就くことが法律上強制されているからです。
清算人の人数に制限はないので、1人でも差し支えなく、2人以上の場合も各自に代表権があります。
しかし、2人以上の場合は、代表清算人を定めることもでき、その場合は他の清算人に代表権はなくなります。
また、法定清算人の場合、従前の代表取締役が代表清算人になり、清算人設置会社の場合は最低でも3人以上の清算人が必要になります。
清算人の登記では必ず定款を添付する必要がありますが、これはその会社が清算人会の設置の有無を確認するためです。
登録免許税は解散登記が3万円、清算人登記が9000円で合計3万9000円になります。
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