生命保険金、死亡退職金、遺族給付金と相続の関係

 生命保険金と相続の関係についてですが、自分が契約者となって生命保険契約を締結した場合の話です。

 

受取人が、以下の2通りに指定されていると仮定してみていきます。

 

1. 特定の相続人が指定されている場合

 

2. 相続人とのみ指定されている場合

 

3. 被相続人自身が受取人に指定されている場合

 

まず、保険金の受取人が特定の相続人に指定されている場合は、その受取人が自分の固有財産として保険金請求権を取得できます。

 

このため、保険金請求権は相続の対象になりません。

 

これに対して、受取人が相続人とのみ指定されている場合、判例は相続人は保険金を保険契約の効果として固有の権利として取得するという固有権説を採用しています。

 

昭和48年の最高裁判決では、

 

「保険金受取人の指定のないときは保険金を被保険者の相続人に支払う」

 

旨の条項について、保険金受取人を相続人と指定したのとなんら異なるところがないと判示しました。

 

よって、この場合も保険金請求権は相続の対象とはなりません。

 

最後に、受取人も契約者自身に指定している場合です。

 

現実的には、生命保険金の受取人を契約者自身にしていることは稀だと思いますが、この場合は相続財産の対象になります。

 

よって、相続人は保険会社に対して生命保険金の支払いを請求することができます。

 

次に、死亡退職金や遺族給付金をみていきます。

 

こららについては、受給権者が法律や内規等によって定められている場合と、そうでない場合とに分けられます。

 

まず、法律や内規等で定められている場合ですが最高裁は、受給権者たる遺族は相続人としてではなく、右規定の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するとの立場で、

 

その結果、受給権は相続財産に属さず、受給権者である遺族が存在しない場合は、他の相続人による相続の対象とはならないと判示しています。

 

よって、このような場合、受給権者が仮に相続放棄をしても、死亡退職金を請求することができます。

 

これに対し、受給権者が定められていない場合には、原則的に相続財産に含まれると解されています。

 

なお、遺族給付金も死亡退職金と同様に考えられ、一般的には遺族固有の権利として相続財産には含まれないとされています。

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