審判前の保全処分
一般的に後見開始の申し立てをして、審判が確定し、その旨の登記が完了するまでには3ヵ月前後はかかります。
しかし、場合によっては一日も早く財産の保存管理をしたり、身上監護をしなければ、
本人にとって取り返しのつかない損害が発生してしまう可能性がある場合があります。
その場合のために、審判前の保全処分という手続きがあります。
この保全処分が認められる要件は3つあります。
1. 後見等開始の審判の申し立てがあり、未だ審判の効力が発生していないこと
2. 後見等開始の審判の申立てが認容される蓋然性が高いこと
3. 必要性があること
審判前の保全処分は、あくまでもその後の正式な審判の申立てが効力を発生するまでのつなぎです。
よって、後見、保佐、補助のいずれの申立てでも、審判前の保全処分は認められますが、
保全処分のみを単独でおこなうことはできず、あくまでも後見等開始の申し立てがされていることが前提です。
また、後見等開始の申し立てが認められる見込みがなければだめで、裁判所に本人の判断能力が低下しているとの
心証を抱かせるための疎明資料として、原則としては医師の診断書を提出する必要があります。
これに加えて、保全処分をしないと、本人が財産を処分してしまったり、第三者に財産を搾取されてしまうおそれがある等、
早急な対応が必要であることの疎明が必要になります。
保全処分の申し立てが認められると、裁判所は、後見開始等の審判が効力を生じるまでの間、財産の管理人を選任し、
または、事件の関係人に対し、本人の財産の管理や本人の監護に関する事項を指示することができます。
しかし、最近では成年後見制度の導入時に比べて、申立てから審判が確定するまでの期間がかなり短縮されてきているので、
実際に審判前の保全処分が必要とされるケースはそれほど多くないと思われます。
なお、申立てには特に収入印紙は不要なので、切手代を負担する程度です。
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