会社の雇用と社会保険と決算

株式会社を設立した場合、従業員を雇用することも出てくるでしょう。

 

その際に頭に入れておかなければいけないのは労働基準法です。

 

労働基準法では、使用者が労働者と労働契約を締結する際は、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。

 

また、常時10人以上の労働者を雇用する場合は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければいけません。

 

雇用で難しいのは、一度、採用した以上、解雇や労働条件の引き下げが容易ではないところです。

 

つまり、解雇するにしても厳格な正当理由が必要で、給料の引き下げ等は原則として労働者の同意が必要になります。

 

なぜなら、労働者にとっては、雇用の継続や労働条件は生活を設計するうえで重大なことなので、使用者の一方的都合による解雇や減給は認められないからです。

 

よって、使用者側は労働基準法をよく理解したうえで、新たな人材の採用は慎重におこなうべきです。

 

もし、採用後に従業員が業務の遂行中に故意または過失により、第三者に損害を与えるようなことがあれば、使用者にその責任が及ぶこともあります。

 

なお、労働期間を定めて雇用するのであれば、原則として3年以下となり、期間内の解雇は通常の解雇に比べてより一層難しくなります。

 

また、一般的によく耳にする試用期間については、特に法律で期間が制限されているわけではありませんが、

 

試用期間といっても、その満了時に正当な理由なく解雇することは許されず、通常の労働契約と変わりません。

 

株式会社では、社会保険への加入が強制となっていますが、従業員の入社・退社のたびに年金事務所へ届出をする必要があります。

 

社会保険では、従業員ごとの給料を年1回報告し、その給料額に応じた社会保険料の等級を加入者ごとに決定する必要があります。

 

よって、ボーナスを支給した場合や、給料を上げた場合、逆に下げた場合でも、報告をしなければいけません。

 

また、社会保険料の料率は頻繁に変わりますし、厚生年金の料率は年々上がっていきますから注意が必要です。

 

なお、労災保険や雇用保険は、法人であるか個人事業主であるかは問わず、1人でも従業員を雇えば加入義務が発生します。

 

会社の決算手続は、決算日から2ヶ月以内にする必要があります。

 

個人の確定申告であれば、申告書が複写式になっているので、税務署に申告書を提出すれば、複写されたページが役場に自動的に回されます。

 

これに対して、会社では税務署、都道府県税事務所、市区町村にそれぞれ作成した申告書を提出する必要があります。

 

また、個人事業主の確定申告では収入や支出を記載した損益計算書の作成で足りましたが、法人の場合は貸借対照表というものも作成しなければいけません。

 

とはいえ、個人事業時代に青色申告をしている場合は、すでに貸借対照表も作成しているので、法人になったからといってそれほど変わりはありません。

 

なお、青色申告している会社には青色欠損金の繰越控除という制度があります。

 

これは、青色申告している事業者が赤字になった場合、その赤字を翌年度以降に持ち越して、黒字だった決算期に相殺するというものです。

 

個人事業の場合、この繰越控除ができるのは3年間ですが、会社の場合は9年まで繰越控除が可能となり、国税と地方税の両方に適用があります。

 

また、会社に限り、平成21年2月1日以降に終了する各事業年度で生じた欠損金に対して、

 

前年の黒字を当年の赤字と相殺できる青色欠損金の繰り戻しによる還付という制度もありますが、こちらは国税である法人税のみが対象となります。

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