有限責任事業組合の設立手続き
株式会社では、株主が会社を所有し、取締役に経営を委任しているので所有と経営は原則として分離しています。
しかし、有限責任事業組合(以下、「LLP」という)では、出資である組合員全員が業務執行をおこないますので、所有と経営が一致しています。
つまり、LLPでは「出資者=業務執行者」となります。
また、LLPでは金銭以外にも様々な出資(知的財産、労務、ノウハウ等)が認められ、総組合員の同意により出資比率と異なる利益配分をおこなうことが可能です。
これに対して、株式会社では出資の割合に応じて利益等の分配をしなければいけません。
LLPの意思決定は、原則として組合員全員でおこないますので、株式会社のように取締役会や監査役などの監視機関の設置が強制されていません。
なお、民法上の組合では出資者は債権者に対して無限責任を負いますが、LLPは有限責任のため以下のような債権者保護が図られています。
1. 民法上の組合では、正式な文書で組合契約を作成する必要はありませんが、LLPでは必ず文書で作成し、登記も義務付けられている。
2. 財務諸表の作成と債権者に対する財務諸表及び組合契約書の開示が義務付けられている。
3. LLPでは、出資者がすべての出資を完了することで初めて成立する。
4. 債務超過時には利益配分をしてはいけない等の財産分配規制が義務付けられている。
では、実際にLLPを設立する際の手順を説明します。
LLPを設立するしようとする者は、組合契約に係る契約書を作成し、その全員が契約書に署名押印しなければいけません。
なお、この契約書には公証人の認証は必要ありません。
日本で登記されていない外国会社であっても組合員になることはできますが、組合契約の当事者のうち少なくても1名以上は日本国内に住所を有し、もしくは現在まで引き続き1年以上居所を有する個人か、
国内に本店を有する法人でなければいけませんので注意が必要です。
また、組合員が法人の場合でも、署名押印はその法人の職務執行者ではなく、その法人の代表者がおこないます。
組合契約書に必ず記載しなければいけない事項としては、「組合の存続期間」があります。
このことから明らかなとおり、LLPは永続することを予定された事業体ではありません。
そして、有限責任事情組合契約の効力が発生したときから2週間以内に登記をしなければいけません。
登記の申請は登記所に印鑑を届け出た組合員のうちの1名からの申請で構いません。
添付書面としては
1. 組合契約書
2. 各組合員が出資をしたことを証する書面
3. 組合員が個人である場合は、その者の印鑑証明書
4. 組合員が法人である場合は、当該法人の登記事項証明書
5. 当該法人の代表者の印鑑につき登記所の作成した証明書
6. 当該組合員の職務執行者の選任に関する書面
7. 職務執行者の就任承諾書
8. 職務執行者の印鑑証明書
登録免許税は6万円です。
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