目的の変更

会社を設立する際には、必ず定款に会社の目的を記載する必要があります。

 

会社の目的とは、その会社が営もうとする事業のことです。

 

例えば、

 

1. 不動産の賃貸、売買及び斡旋

 

2. 農作物の加工及び販売

 

等といった感じです。

 

旧商法では、会社の目的を審査する際に4つの基準がありました。

 

1. 適法性

 

2. 営利性

 

3. 明確性

 

4. 具体性

 

しかし、会社法では、上記4要素のうち具体性は審査基準から除外されました。

 

その理由としては、旧商法では類似商号が禁止されていたからです。

 

つまり、類似商号にならないために、会社の目的を細分化していましたが、会社法では類似商号の規制が廃止されたため、目的の具体性を考慮する必要がなくなったわけです。

 

なお、以前は会社の目的はすべて日本文字でなければならないとされていましたが、例えば「OA機器」、「LPガス」、「LAN工事」などのように、

 

ローマ字表記が社会的に認知されている語句については、目的の明確性に反しない限り、会社の目的として使用してもよいことになりました。

 

また、782号通達において、「会社の設立の登記等において、会社の目的の具体性については、審査を要しないものとする」との方針が示されたので、

 

単に「サービス業」、「営利事業」といった目的でも登記自体は受理されると思われます。

 

その点からいえば、具体性をもった表記を選択するのか、抽象的な表記を選択するのかについて選択の幅が広がったといえます。

 

しかし、抽象的表記を選択した場合、いざ許認可申請をする際や金融機関から融資を受ける際に問題になる可能性があり、そういったリスクはすべて自己責任ということになります。

 

また、会社法8条では不正の目的をもって他の会社と誤認されるような商号を使うことは禁止されていますし、不正競争防止法により差し止め請求や損害賠償請求を受ける恐れがありますので、

 

会社法で類似商号の規制がなくなったとはいえ、従来どおり目的は具体的に記載しておくのが安全といえます。

 

なお、法務局には各会社の商号と目的が記載された商業調査簿というものが備え付けられていますので、そちらで類似商号の調査をすることが可能です。

 

また、会社の目的が定款の絶対的記載事項であるため、目的を変更するには株主総会の特別決議が必要です。

 

株式会社が定款を変更して目的を変更した場合には、2週間以内に登記をしなければいけませんが、本店の管轄外に支店がある場合でも支店所在地での登記は不要です。

 

登録免許税は、目的を何個追加、変更したとしても3万円なので、頻繁に変更するよりは、なるべく1回にまとめて申請した方が安く上がります。

 

 

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