再転相続と相続放棄

再転相続とは相続人が熟慮期間中に相続の承認または放棄を行わないまま死亡してしまった場合に、その死亡した者の相続人が前相続人の承認・放棄する権利を承継取得することをいいます。

具体例を挙げて説明すると、祖父Aが1月1日に死亡し、その相続人である父Bが祖父Aの相続について承認または放棄をしないうちに2ヶ月後の3月1に死亡したようなケースです。

再転相続の具体例

祖父A(1月1日死亡)父B(3月1日死亡)➡ 子C

この場合、父Bの子Cは祖父Aと父Bの相続分を承継することができます。

しかし、父Bの遺産は承継したいが、祖父Aには多額の借金がある場合、父Bの相続だけを承認して祖父Aの分についてだけ相続放棄することができるのかどうかが問題となります。

結論からいえば、子Cは祖父Aの分だけ相続放棄をすることができ、これを再転相続放棄といいます。

これに対して、子Cが父Bの相続を放棄した場合は、もはや祖父Aの分だけ相続を承認することができません。

なぜなら、子Cは祖父Aの相続を選択する権利を父Bから相続しているからです。

ここがポイント!

☑ 祖父の相続分を放棄して、父の相続分だけもらうことはできる

☑ 祖父の相続分だけもらい、父の相続分を放棄することはできない

相続放棄は相続開始後3ヶ月以内におこなう必要があります。

相続開始というのは「自己のために相続の開始があったことを知った時」のことですが、再転相続の熟慮期間については「相続人が相続の承認または放棄をしないで死亡したときは、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する」とされています。

上記の具体例でいえば、子Cが父Bの死亡の事実を知った時です。

つまり、子Cが父Bの死亡を3月1日に知ったのであれば、たとえ祖父Aの死亡の事実を1月1日に知っていたとしても、子Cが祖父Aの相続分を承認するのか放棄するのかについての熟慮期間は、父Bの死亡の事実を知った日から3ヶ月後の6月1日までとなります。

ここがポイント!

再転相続の熟慮期間の起算点は、その者(父B)の相続人(子C)が、自己のために相続の開始があったことを知ったとき

上記の祖父A、父B、子Cの場合において、子Cが選択できる対応を一覧表にしてまとめると以下のとおりとなります。

【再転相続における子Cの選択肢】

祖父Aの財産相続相続放棄 放棄
父Bの財産 相続放棄相続 放棄
選択ができるできない できるできない※  できるできる

※父Bの相続を放棄すると、祖父Aの相続についても自動的に放棄となるので、祖父Aの相続放棄の手続は不要です

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