未成年者の相続放棄と特別代理人の選任

未成年者の法定代理人は、原則的に親権者(父、母)です。

よって、未成年者が相続放棄をする場合、法定代理人である父母が代わりにおこなうことができます。

父母がすでに亡くなっている場合などでは未成年後見人が親権者に代わって相続放棄をすることになります。

ただし、法定代理人である親権者(父、母)と未成年者との間で利益が相反する場合には別途、特別代理人を選任しなければならず、相続放棄の申立ても特別代理人がおこなうことになります。

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なぜなら、利益相反の場合でも親権者が未成年者の相続放棄をおこなえると、親権者が自分で相続財産を独り占めしてしまうおそれがあるからです。

ここがポイント!

☑ 未成年者の相続放棄は原則的に親権者もしくは未成年後見人がおこなう

☑ 未成年者と親権者の利益が相反する場合は特別代理人の選任が必要


親権者と未成年者である子の間で利益相反しているかどうかの判断は当該行為の形式で判断します。

つまり、当事者の意向は問わないということです。

そのため、たとえ親権者が未成年の子に借金を相続させたくないと思って相続放棄の申立てをするような場合でも、利益相反行為に該当するかどうかは、その行為の外形のみで判断されます。

特別代理人の選任が必要なケース

☑ 親権者と未成年者が共同相続人で未成年者のみが相続放棄する場合
 ※ただし、親権者が先に相続放棄をしている場合は除きます

☑ 複数の未成年者の親権者が一部の未成年者のみを代理して相続放棄をする場合

特別代理人の選任が必要なのは、未成年者と親権者の利益が相反する場合です。

言い換えれば、利益が相反する余地がない場合では、原則どおり親権者が未成年者を代理できるので特別代理人の選任は不要となります。

特別代理人の選任が不要なケース

☑ 親権者が相続放棄をした後に未成年者全員を代理して相続放棄をする場合

☑ 親権者と未成年者全員が同時に相続放棄をする場合

未成年である間は原則的に法的な判断はできないので、相続放棄できる期間も親権者を基準に判断されます。

つまり、未成年者の相続放棄における熟慮期間は「法定代理人である親権者が未成年者のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」とされています。

ここがポイント!

☑ 未成年者の熟慮期間は、親権者が未成年者のために相続の開始があったことを知ったときからスタートする

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