遺言書に対する誤解

「うちは家族の仲がいいから遺言書は必要ない」と考えている方もいると思います。

 

確かに、仲が良ければ揉め事になることもないような気がします。

 

しかし、今仲が良くても、被相続人が亡くなった後も、仲がいいという保証はありません。

 

人間関係というのは、微妙なバランスで保たれています。

 

つまり、一人いなくなることで、その絶妙なバランスが崩れ、泥沼の争いになる可能性があります。

 

特に、両親が亡くなった後に、それまで仲の良かった子供たちが、それぞれの主張を譲らなくなることはよくあります。

 

また、子供同士が仲が良くても、その子の配偶者や親せきなどが口を出してくることもあります。

 

よって、仲が良いうちに遺言書 を作成しておくというのも一つの手です。

 

遺言書は、死後の無用な争いを避けるために有効な手段な一つです。

 

遺言書があることで、無用な争いをしなくてよいなら、結果的には相続人にも感謝されることでしょう。


「遺言書が必要な人はお金持ちだけ。ウチは貧乏だから遺言書なんていらないよ」と思っている方は非常に多いのでは?

 

しかし、相続というのは、お金持ちであっても貧乏であっても必ず発生します。

 

貧乏であっても、銀行の通帳がいくつもあれば、それだけ相続手続きが煩雑になります。

 

不動産を持っていても、田舎だったりして、評価額が低い場合でも、必ず相続登記が必要になります。

 

このような場合に、相続人が多数いると、それだけ手間がかかり、遺産分割の話がまとまらない可能性も出てきます。

 

遺産が少ないと、相続人も何かと後回しにしがちになり、そうなるといつまでたっても手続きが進みません。

 

そのようにならないためにも、遺言書 を書いておくのが望ましいのです。

 

ある意味、お金がない方の方こそ遺言書を書いておくべきといえるのではないでしょうか。

 

遺言書の作成にお金をかけることができないのであれば、公正証書遺言ではなく自筆証書遺言にすればOKです。

 

では、遺言書は何歳になったら作った方がいいのか?

 

ただ漠然と、高齢になってからでいいのではと思っている方が大半だと思います。

 

が、しかし、それは大きな間違いです。

 

不謹慎な話ですが、人間はいつどうなるかわかりません。

 

そのためにも、思い立った時こそ、遺言書を作成する時期です。

 

なお、遺言書 自体は法的には15才から作成することができます。

 

さすがに、この年歳で作る人は、ほとんどいないと思いますが、少なくても結婚したら作成しておいた方がいいでしょう。

 

子供ができてから・・・では、遅いです。

 

なぜなら、子どもがいない場合の法定相続人は、妻と夫の両親(両親がいなければ夫の兄弟)だからです。

 

また、子供が小さいうちに相続が発生した場合、妻と子供の間で遺産分割協議をしようとすると、子供の代理人として家庭裁判所に特別代理人を選んでもらう必要があり、手続きが面倒になります。

 

こういった事態に陥らないためにも、早い段階で遺言書を作成しておくことが重要なのです。

 

例えば「全財産を妻に相続させる」という内容の遺言を書いたとします。

 

だからといって、遺言の内容のとおりにしなければいけないというわけではありません。

 

気が変わったら、遺言を書きかえても構いません。

 

もちろん、遺産を遺言の内容に沿わない形で処分してもOKです。

 

つまり、遺言を書いたからと言って、書いた人が生前、遺言の効力に拘束されることはないというわけです。

 

遺言 に書いた内容というのは、あくまでも相続が開始した時点、つまり遺言を書いた方が亡くなった時点の話に過ぎません。

 

ですから、遺言を書いた方が生きているうちは、遺言の内容に反する処分をすることは自由です。

 

遺言を書いたら勝手に財産を処分できなくなるのでは・・・と誤解されている方もいますが、そういったことはありません。

 

自分の財産なのですから、たとえ遺言を書いたからと言って、生前は自由に処分できるわけです。

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