遺産分割の調停と審判

相続人間で遺産分割協議がもめたり、まとまらなかった場合、家庭裁判所に調停または審判を申し立てることになります。

 

 

調停と審判は、どちらを先に申立てても構いませんが、通常は調停に回されます。

 

 

 

また、調停や審判を省略して いきなり訴訟も提訴できますが、通常は調停に回されます。

 

 

 

裁判所を使って、家事に関する紛争を解決するには、まずは調停をしなければいけないと家事審判法第18条で定められており、これを調停前置主義と呼びます。

 

 

 

調停は当事者主導であり、当事者に調停委員を交えた話し合いをすることです。

 

 

 

一方、審判は裁判官主導であり、裁判官が審理を行って審判を下すことです。

 

 

 

やはり、家の中のもめごとは、まずは話し合いで解決するのが望ましいということからも調停前置主義なのでしょう。

 

 

 

ところで、調停と審判では申立先が異なります。

 

 

 

調停の場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

 

 

 

審判の場合、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

 

 

 

よって、調停前置主義となりますが、審判の方が相続人達にとって近くて都合良い場合もあります。

 

 

 

調停は非公開で行われ、調停委員を交えた自由な話合いが基本です。

 

 

 

調停委員は双方の意見を聞いて調停案を作り、合意を目指します。

 

 

 

合意が成立しない場合、審判または訴訟へ移行します。

 

 

 

審判も非公開で行われ、家事審判官(裁判官のこと)が証拠調べをして、認容または却下の審判をします。

 

 

 

審判に不服がある場合、訴訟で争うこととなります。

 

 

 

なお、調停も審判も成立すれば調停調書、審判書という判決と同一の効力ある書面が交付されます。

 

 

 

この書面は、裁判所の印が押されたものなので、書面内容どおりに応じない者に対し、強制的に履行させることが出来る強大な書面です。

 

 

いずれにせよ、相続の場合は、まずは当事者間の話し合いが基本で、当人同士では話がまとまらない場合は家庭裁判所での調停、それでもダメな場合は審判や訴訟で解決するということになるわけです。

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