相続と戸籍の取り寄せ
不動産の所有者が死亡した場合、相続を原因とする名義変更をしなければいけません。
もし、住宅ローンなどの抵当権がその不動産に付いていた場合に、その抵当権の登記を抹消するには以下のような順序を経なけれいけません。
1. 所有者の名義変更
2. 抵当権の抹消
つまり、登記上の所有者が亡くなった者になっている場合は、まずはその相続人名義に変更した上で、新たな名義人が抵当権の抹消登記を申請するという形を取らないといけないわけです。
これは、すでに亡くなった者が、抵当権の抹消登記の申請人になることはあり得ないからです。
手続き上は、所有者の名義変更登記と抵当権の抹消登記を連続して申請すればOKです。
ところで、相続を原因とする所有者の名義変更は自分でも簡単にできるのかという質問を受けることがありますが、これについては簡単ではありませんが、手間暇かければできないことはないのではないかと思われます。
といいますのも、相続を原因とする名義変更をする場合、亡くなった所有者の出生もしくは15歳くらいから亡くなるまでの連続したすべての戸籍が必要になるからです。
なぜ、すべての戸籍が必要になるかというと、亡くなった方の相続人を確定させる必要があるからです。
もし、一部でも戸籍が漏れていると、その取り損ねた戸籍にだけ記載されている子がいるかもしれません。
よって、原則的にすべての戸籍が必要になるわけです。
これに対して、亡くなった所有者の相続人に関する戸籍は現在のものだけでOKです。
これは、相続人に関しては、現在も生きていることが分かれば足りるからです。
つまり、亡くなった者の全ての戸籍から、誰が相続人になるかは判明しているので、あとはその相続人が実際に生きていることを証明するために、現在の戸籍が必要になるわけです。
実務上は、亡くなった方の全ての戸籍を取るのがなかなか骨が折れる作業なわけです。
なぜなら、その方が色々な場所に転籍をしていると、戸籍を取り寄せる役場もそれだけ数が増えてしまいます。
これに加えて、戸籍を取得する際は現在の戸籍から一つ一つ遡って取らなけれならず、それをするには戸籍を読む力が必要になります。
しかし、一般の方にとって、戸籍に記載されている文章を読んで、それを元に古い戸籍を取り寄せるというのはなかなか難しいのではないかと思われます。
また、現在の戸籍はコンピュータ化されているところもありますが、昔の戸籍になればなるほど字が読みにくくなります。
中には達筆すぎてなんて書いてあるのかわからないという場合もあるほどです。
さらには、戦争中の空襲で一部の戸籍が焼失していることもあります。
そのような場合には、代わりの書類を用意しなければいけないのですが、そういったことも一般の方には困難な点といえるでしょう。
そもそも、戸籍が集められたとしても、そこから相続人を確定しなければいけません。
今の家族構成は3~4人というのが多いですが、昔は子どもだけで10人近くいたことも珍しくありません。
そのような大家族の場合、子供がすでになくなっていて、更にその子供(孫)が代襲相続人になるということもありえます。
そういった相続関係が複雑なケースでは、相続人が誰になるかだけを取ってみても、一般の方には困難作業といえます。
もし、相続人の範囲を間違えてしまうと、その後の遺産分割協議が無効になってしまいますから、絶対に相続人が漏れていはいけません。
よって、もし、時間がなかったり、自分で戸籍を集める自身がない、相続人が多くて不安だ、という場合は、司法書士にお願いするというのが安全です。
当事務所でも千葉近郊か、遠方であっても来所して頂けるのであれば、相続手続きを受任することが可能ですので、相続や遺言のことならなんでもお気軽にご相談ください。
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