過払い金請求の翌月一回払い

信販会社でのキャッシングの場合、返済方法が一定の借入限度内で借りたり返したりを繰り返す

 

「リボルビング払い」

 

ではなく、

 

「翌月一括払い」

 

であることがあります。

 

こういった場合でも、引き直し計算をする際は一連計算するべきであると考えますが、大手信販会社(特にオリエントコーポレーションと三菱UFJニコス)の中には、一括払いの場合は、それぞれが独立した取引であると主張してくることがあります。

 

こういった主張をしてくる貸金業者の理由としては、

 

「一回払いの場合はそれぞれの貸し付けと返済で完結しており、それぞれが個別的な取引である」

 

というものです。

 

しかし、平成19年6月の最高裁判決では、返済方法がリボルビング払いであったケースではありますが、こういった信販会社との基本契約には

 

「過払金充当合意」

 

があるので、返済によって発生した不当利得金はその後に発生する新たな借り入れ金債務に充当されると判示されました。

 

ところが、貸金業者の主張では、この平成19年6月の最高裁判決は、あくまでもリボ払いの場合に限定され、1回払いの場合には適用されないと主張してきます。

 

果たしてそうなのでしょうか?

 

そもそも、平成19年6月の最高裁判決の事案では、借主が返済方法をリボ払いや1回払いから選択することができました。

 

そして、借主が選択した返済方法がたまたまリボ払いであったにすぎません。

 

つまり、最高裁は返済方法自体を重要視してないのです。

 

また、仮に、一回払いの場合に、それぞれの貸し付けが独立した取引となると、非常に複雑な取引関係になってしまいます。

 

しかし、当事者の合理的解釈とすれば、そのような複雑な法律関係は望んでおらず、できるだけ単純で分かりやすい法律関係です。

 

よって、たとえ一回払いであろうが、リボ払いであろうが、そもそも基本契約は当初カードを作成した際の一つだけなのですから、取引も当然一つだけです。

 

であるならば、引き直し計算をする際も、一つの取引として一連一体計算するのが自然の流れとなります。

 

そして、裁判所もほとんどがこのような考えに沿った判決を出しています。

 

つまり、リボルビング払いであるか一回払いであるかは単に

 

「返済方法の違いに過ぎない」

 

ということです。

 

よって、一回払いであっても、その基本契約には充当合意が含まれていると解釈され、その結果、平成19年最高裁判決に基づき、一連一体計算するという結論になるわけです。

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