過払い請求は1社からでもOK
払い過ぎた利息を返してもらうためには、相手の貸金業者に対して返還請求をする必要があります。
もし、複数の会社から借り入れがある場合、
「返還請求は全社まとめてしなければいけないのか?」
という疑問が出てきます。
確かに、全社まとめて返還請求をしなければいけないとなると躊躇してしまうでしょう。
なぜなら、特定の貸金業者との付き合いを残しておきたい場合もあるからです。
通常、不当利得返還請求をすると、今後その相手業者と取引をすることができなくなります。
つまり、毎月カードで通信料金などの支払いをしていたような場合、返還請求をすることでその相手業者のカードが使えなくなるのです。
ただ、中には、返還請求後もカードを今までどおり使えるような処置をしてくれるカード会社もありますが、そういったカード会社はまだ少数です。
よって、ある1社のカード会社とは今後も付き合いたいから返還請求をしないで、残りの貸金業者に対してだけ返還請求できるかどうかは重要なことです。
結論からいえば、払い過ぎた利息は個別に請求するのが原則なので、自由に返還請求先を選ぶことが可能です。
たとえば、請求先が5社あっても、そのうちの1社だけに対してだけ返還請求をして、残りの4社は何もしないということも可能です。
実務上でよくあるケースは、複数の会社から借り入れがあるケースで、まず1社だけ完済し、そこから回収した過払い金で、順に完済をしていくというパターンです。
平成22年4月までは、完済前の不当利得返還請求は、信用情報上で不利益な扱いを受けることがありました。
そこで、いわゆるブラックにならずに超過利息を回収するためには、まずは完済した業者から返還請求する必要がありました。
そして、その会社から回収した過払い金で、残っている借金を順に完済していく手段を取ることで、最終的にブラックにならずに返還請求をしていました。
しかし、回収するまでには早くても3ヵ月前後はかかりますので、この手法だと全社から回収するまでにかなりの時間を要していました。
ところが、平成22年4月、金融庁からの通達の影響で返済途中でもすでに利息を払い過ぎている場合には、特に完済をしないで返還請求をしても、いわゆるブラックになることがなくなりました。
このように、不当利得の返還請求は、特に全社まとめてしなければいけないという決まりはないので、返還請求をする相手先はこちらが自由に選べるということになります。
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