社員総会と基金制度

社団法人は最低でも2人以上の社員で構成されますが、ここでいう社員というのは会社員のようなものではなく、株式会社でいう株主のような存在です。

 

そのため、社団法人の最高意思決定機関は社員総会となり、各社員はこの社員総会に参加して議決権を行使することになります。

 

よって、社団法人を設立した場合には、社員名簿を作成して事務所に置いておく必要があり、原則的に社員はいつでも社員名簿を見たり、コピーしたり請求できます。

 

なお、主たる事務所の他に従たる事務所がある場合、社員名簿は主たる事務所に置いておけばよく、従たる事務所に置いておく必要はありません。

 

社員総会は、原則的に理事が招集しますが、理事会を設置している場合には理事会の決議を経て招集します。

 

これに対して、社員の側からも招集することができますが、総社員の議決権の10分の1以上の議決権を有する社員が理事に対して社員総会を開催する目的と理由を示すことが条件とされています。

 

もし、招集を受けたにもかかわらず、理事が社員総会を招集しない場合には、裁判所の許可を受けて社員自身が招集することも可能です。

 

また、社員は社員総会に自分が望む議案を提出する権利も有していますが、法令や定款に違反する内容であれば提出することはできません。

 

社員総会の決議が有効になるためには、原則として総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、

 

 出席した社員の議決権の過半数となりますが、定款でこれと異なる要件を規定することは可能です。

 

ただし、定款の変更や社員の除名等の一部の重要事項については、特別決議(総社員の半数以上でかつ総社員の議決権の3分の2以上)が要求されています。

 

なお、実際に社員総会が開催されている会場に行くことができない場合には、代理人や書面、メールによる議決権の行使も認められています。

 

ところで、社団法人における社員は、株式会社の出資金や財団法人の拠出金のように財産を拠出することを要求されていません。

 

そのため、社員以外の第三者から社団法人に対して金銭等の財産を拠出してもらう制度があり、これを基金といいます。

 

社団法人では剰余金の分配が認められていないので、この基金は社団法人の活動資金を調達する手段に一つとされています。

 

基金制度を設定するかどうかは各社団法人の自由となっており、拠出してもらった基金についての使い道も自由とされています。

 

基金の返還については、一定の条件をクリアーした場合に返還義務が発生します。

 

具体的には、ある事業年度の貸借対照表に記載された純資産額が基金等の合計額を上回る場合で、返還額は超過額が上限となります。

 

株式会社の出資金には返還義務はありませんが、これは社団法人の基金が一種の外部負債と考えられているからです。

 

このように基金は、設立時に社員が拠出金を提供しなくてもよい社団法人特有の制度なので、

 

設立時に300万円の拠出金の払込みが条件とされている財団法人では利用することはできません。

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