借金解決の選択肢
借金を整理するにはいくつかの方法があります。
どの手続きを選択するかは司法書士等の専門家が本人の収入や負債状況、その他の事情を考慮して決めることになります。
そこで、具体例を挙げてどういった手段があるのかを解説していきたいと思います。
まず、手取り収入が25万円の独身サラリーマンを想定します。
家賃が毎月8万円かかり、それ以外は通常の生活費と仮定します。
このサラリーマンに200万円の借金があった場合、取りうる手段としては任意整理が第一に挙げられます。
任意整理は司法書士が債権者と個別に交渉し、残った借金を毎月分割で返済していく内容の和解を締結する手続きです。
この手続きの特色の一つに、和解後の返済においては利息は発生しないということです。
ただし、ごく一部の業者ではありますが、利息を免除した上での分割返済に応じない業者もいますので、任意整理が可能かどうかは借入先の業者がどこかによっても影響を受けます。
話を戻しますと、200万円の借金を毎月分割返済する場合、その返済額は36回払いで毎月5万6000円、48回払いで毎月4万2000円、60回払いで毎月3万4000円になります。
返済回数については、無理のない範囲で設定することになりますが、原則的に36回(3年)から60回(5年)であれば、相手業者も応じてくれることが多いです。
25万円の手取収入があり、独身であれば家賃が8万円でも残りが17万円あるので、ここから光熱費や食費を引いても毎月4~5万円の返済は可能と思われます。
よって、この場合のベストの借金整理法は任意整理ということになります。
次は、毎月の手取り収入が30万円で、毎月10万円の住宅ローンを組み、妻と子供の3人暮らしのサラリーマンが300万円の借金をしているケースです。
このケースで住宅ローン以外の300万円の借金を任意整理で返済しようとすると、毎月の返済額は60回払いでも毎月5万円となります。
そうなると、毎月の返済額は住宅ローンの10万円と5万円の返済で合計15万円となります。
毎月の手取収入が約30万円なので、借金の返済だけで毎月のお給料の半分が消えてしまいます。
子どもも現在は1人でも、将来的に増える可能性もあり、そういった場合はますますお金がかかり、任意整理では少々厳しそうです。
そういった場合に、最も適しているのが個人再生です。
個人再生では、住宅ローンはそのままで、それ以外の借金を原則的に100万円に圧縮し、その100万円を36回払いで返していくことになるので、毎月の返済額は3万円弱で済み、返済期間も3年です。
よって、3年の間、住宅ローンに加えて毎月3万円を返済できるのであれば、個人再生を積極的に検討すべきでしょう。
最後は、毎月の手取収入が20万円で、家賃が8万円、妻(パート収入が毎月5万円)と子供の4人暮らしのサラリーマンが250万円の借金をしているケースです。
この場合、任意整理で返済しようとすると毎月の返済額は5万円前後になるので、たとえ妻のパート収入を合わせて毎月25万円の収入があるといっても、任意整理は厳しそうです。
もちろん、無理をして任意整理を選択することも不可能ではありませんが、今後4~5年の間、一度も遅れることなく返済を続けられるかといえば少々疑問です。
そうなると次の選択肢は個人再生です。
個人再生を選択すれば、毎月の返済額が3万円弱になるので、妻のパート収入が考慮されれば、裁判所が再生を認めてくれる可能性はあります。
しかし、特に住宅ローンを組んでいるわけでもないので、無理に個人再生を選択せずに、自己破産をして一度リセットしてやり直すという選択肢もあります。
この辺の判断はするための材料は司法書士が本人に提供しますが、最終的な方針決定権は本人にあります。
このように、取りうる手段は必ずしも一つとは限らず、同じケースでも複数の選択肢がある場合は珍しくありません。
ただし、正しい判断を下すためには、司法書士等の専門家に相談しなければいけないのが現実ですので、返済が厳しくなってきたら早めにご相談ください。
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