過払い金請求と信用情報
サラ金やカード会社で長い間、キャッシングを利用していると、利息の払い過ぎ(いわゆる過払い金)が発生していることがあります。
なお、利息の払い過ぎといえるためには、キャッシングの金利が18%超(ただし、借入額が10万円以上100万円未満の場合)であるのが条件です。
18%超ですから、金利が18%であればギリギリ法定金利内となり、利息の払い過ぎの対象になりません。
また、借入れが100万円以上の場合、上限金利は18%ではなく15%に下がりますので、金利が15%超であれば違法金利となり、利息の払い過ぎの対象となります。
最近、テレビCMやラジオCMでも過払い金請求の宣伝がよくされているので、一般的にもかなり利息の払い過ぎも認知されてきました。
その影響か、当事務所にも「自分もカードでキャッシングを利用しているので、過払い金があるか知りたい」といった相談がよくあります。
この場合、注意しなければいけないのは、信用情報がいわゆるブラックになるかならないかです。
そこで、以下の2つのパターンで、ブラックになるかならないかを解説します。
1. すでに返済が終わっている場合
2. まだ返済中の場合
まず、1.の返済が終わっている場合ですが、この場合は、過払い金請求をすることでブラックになることは絶対にありません。
よって、ブラックになる心配をせずに払い過ぎた利息を取り戻すことができます(実際に取り戻せるかどうかは別問題です)。
これに対して、2.の返済中の場合は要注意です。
というのも、返済中の場合は、仮に、今まで高金利で返済をしてきていたとしても、現時点で過払いになっているかどうかは、調べてみないとわからないからです。
もし、調べた結果、借金の額が多少は減ったけれども、まだ、過払いにはなっていなかった(つまり、借金が残った)場合は、確かに利息の払い過ぎはあったといえますが、その払い過ぎた利息よりも、残っている借金の額が大きければ、結果としてはまだ過払いとはならないわけです。
たとえば、調べる前の借金の額が50万円で、金利が29.2%だった場合、利息制限法で引き直し計算をすることで、取引年数によって借金の額が、およそ以下のような推移をたどります。
1年 ⇒ 残金40万円
2年 ⇒ 残金30万円
3年 ⇒ 残金20万円
4年 ⇒ 残金10万円
5年 ⇒ 0円
6年 ⇒ 20万円の払い過ぎ
7年 ⇒ 40万円の払い過ぎ
以上の推移は、あくまでもわかりやすくした一例なので、実際のケースがこれを大きく異なることはありますので、あくまでも参考資料としてみてください。
上記の例では、1年で約10万円の利息の払い過ぎが発生した結果、取引開始から5年で借金がゼロになり、それ以降は利息の払い過ぎた状態が続きます。
よって、取引年数が5年程度あると、すでに借金がなくなり、過払い状態になっている可能性が高いといえます。
しかし、まだ返済中の場合は、実際に過払い状態になっているかどうかは、借入先から取引履歴を開示してもらって、引き直し計算をしてみないとわかりません。
なお、取引履歴の開示自体は、信用情報を傷つける行為ではありません。
そこで、どうしてもブラックになると困るという場合は、まずは取引履歴を取り寄せた上で、現時点で過払い状態になっているかどうかを調べてみる必要があります。
その辺を調べないまま、司法書士が借入先に介入通知を送ってしまうと、結果として過払い状態ではなかった場合に、信用情報がブラックになってしまう危険があります。
よって、まだ返済中の場合は、以下の2つのパターンに分類できます。
1. すでに過払い状態であった ⇒ ブラックにならない
2. まだ過払い状態ではなかった ⇒ ブラックになる
もちろん、まだ過払い状態ではなかった場合でも、単に取引履歴を取り寄せただけでは、ブラックになることはなく、あくまでも、司法書士が介入した場合に、ブラックになる可能性があるということです。
以上をまとめると、すでに返済が終わっているのであれば、司法書士に過払い金請求を依頼してもブラックになることは絶対にないのですが、まだ返済中の場合は、事前に過払になっているかどうかを調査してからでないと、ブラックになる危険があるというわけです。
なお、当事務所では、ご本人が取り寄せた取引履歴を無料で引き直し計算しているので(ただし、千葉近郊にお住まいの方のみ)、過払い金が発生しているのかどうかを調べたい方はお気軽にご利用ください。
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