募集株式発行の手続き

株式会社が資金を調達する方法として、募集株式の発行があります。

 

これは新たに発行する株式を引き受ける者を募集し、金銭等の払込を受ける代わりに、新たに株式を発行する手続きです。

 

なお、ここでいう募集には、株主に募集株式を割り当てを受ける権利を与える場合と与えない場合の両方があります。

 

非公開者が株主以外の者に募集株式の発行をする場合、募集株式の数、払込金額、増加する資本金等に関する事項を、株主総会の特別決議で決定しなければいけません。

 

ただし、株主総会の特別決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会)に委任することも可能です。

 

募集株式の申込みをしようとする者は、氏名と住所、引き受けようとする株式数を記載した書面を会社に提出する必要があります。

 

なお、申込みを受けた会社が、その者に実際に割り当てる株式の数を、応募してきた数より少なくすることも可能ですが、払込みの期日の前日までには、申込者に割り当てる株式の数を通知しなければいけません。

 

払込みに関しては、金銭によることがほとんどだと思いますが、動産、不動産、有価証券等の現物出資でも可能です。

 

現物出資の場合は、原則的には裁判所が選任した検査役の調査を受けなければいけませんが、現物出資の価額が500万円以下の場合は不要とされています。

 

払込期日までに金銭等の払込をすれば、払込期日に募集株式の株主となります。

 

なお、払込期日を延長することができるかどうかですが、申し込みの前であれば自由に変更できますが、申し込み後であっても引受人全員の同意を得れば延長可能です。

 

登記期間は、この払込期日から2週間以内とされています。

 

募集株式の発行により、登記上変更される箇所は発行済み株式総数と資本金の額となります。

 

なお、自己株式の処分の場合であれば、資本金額に変動はありません。

 

また、募集株式の発行の場合であっても、払込み等を受けた合計額の2分の1を超えない額については、資本金に組み入れずに、資本準備金とすることができます。

 

添付書面としては、株主総会議事録と場合によって取締役会議事録、募集株式の引き受けの申込みを証する書面、

 

金銭等の払込があったことを証する書面、資本金の額が会社法の規定にしたがって計上されたことを証する書面です。

 

払込みをしたことを証する書面としては、銀行等の払込受入証明書もしくは代表取締役が作成した払込み受けたことを証する旨を記載した書面に預金通帳の写しや取引明細を合綴したものとなります。

 

これに対し、公開会社で株主に対する通知もしくは公告をしたことを証する書面や募集に応じて募集株式の引き受けの申込みをしようとする者に対する通知をしたことを証する書面等は添付書面とされていません。

 

登録免許税は増加する資本金額の1000分の7ですが、最低3万円とされています。

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